【第0回】はじめに | マイナビブックス

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はじめに

 「鉄道アイドル」というジャンルを作り、10年が経ちました。
「アイドル×ファン」と聞くと、どんなことを思い浮かべますか? サイリウムを縦横無尽に操る男性、ケミカルウォッシュのGパンにTシャツイン、10秒の握手に長蛇の列…と、色んなイメージがあると思います。
私自身も10年前はそんなイメージを持っていましたし、実際にサイリウム君、Tシャツイン君らと交流を深めて来ました。そしてそれが一般的な「アイドル×ファン」像だと思っていたんです。でもある日、色んなタレントを見てきたマネージャーに言われました。
 
「裕子ちゃんのファンって、かなり特殊だよね、○○さんとか、△△くんとか…」
 
えっ? 夫婦でイベントに来るファンって特殊なの? 私の為に仕事を辞めた人も、会社の上司に私のことを彼女と紹介するファンも、ファンの3割が鉄道関連の仕事をしていることも、これって特殊なの!?
 
そんな秘密に包まれた世界を「木村鉄道株式会社」と呼んでいます。簡単に言うとファンクラブのようなもの。私自身が「代表取締役社長」でファンが「社員」。有給休暇もあるし、昇進もあります。現在社員数は327名、世間的に言えば大手企業です。
 
ふと振り返ると、この架空会社には面白い人間ドラマがありました。
かく言う私も、最近まで極度に人付き合いが下手で、自分の本心を言葉にして伝えることが苦手でした。その一つ、「鉄道が好き」ということも、このお仕事を始めるまではひた隠しにして生きてきたほどです。サブタイトル「鉄ヲタだって人間だぁ!」は、そんな私がずっと抱えていた心の叫びです。
 
この本は、社長(アイドル)と社員(ファン)の出来事をまとめたお話です。
 
読み終わった際もし気に入って頂けましたら、弊社への入社をお待ちしております!
 
※ファンの個人名はプライバシーを考慮し、「全て」仮名となっています。
※この物語は、私の10年分の記憶に間違いがなければ、ノンフィクションです。