【第0回】あらすじ | マイナビブックス

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穢れない白の音

【第0回】あらすじ

2015.06.18 | 七瀬椋

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 難聴の主人公、上崎玲菜(うえさきれな)は事あるごとに、アルバイトの先輩に責められていた。トイレの個室に篭って声を出さずに苦しむ日々。

 そんなある日、店長から初めての休日出勤を頼まれる。バイトの人数が足りないことも有り、いつもはオーダーを取らない玲菜も、余り耳につけることが無い補聴器をつけて、開店の準備をしていた。その最中に、見知らぬ青年――店の子たちに噂されていた、〝日曜の王子様〟と呼ばれる、大野 忠(おおのただし)に声を掛けられた玲奈は、自分とは正反対である陽の性格に嫌悪感を感じてしまう。

 それから、同僚の合コンに無理やり連れて行かれ、大野と再び出会う玲菜だったが、難聴である玲菜にとって合コンは苦痛以外の何物でもなかった。大野の低くて小さい声は殆ど聞き取れず、嫌な思いだけをしてしまう。

 次の日、公園で寛いでいた玲菜の前に現れる大野。仕方なく会話をする玲菜だったが、落ち着いた場所でする会話は、思いもよらず楽しかった。連絡先も交換し、大野の悪い印象も薄れていく。

 日に日に大野に惹かれていく玲奈だったが、難聴のことが引っかかり前に踏み出すことが出来ない。難聴のことを知られて自分の元を去る大野の夢を見て、落ち込んでしまう玲菜。

 そんな時、友人が一緒にダブルデートをしようと提案する。友人の恋愛を応援したいと考えた玲菜は了承し、当日、待ち合わせ時間より早く到着した。同じく、早く到着した大野の友人と盛り上がる玲菜。その様子を見て、二人が恋仲だと誤解した大野。間違いだと説明しようと補聴器を取り出したが、それは大野の手に当たり壊れてしまう。祖母がくれたプレゼントが壊れたことにショックを受け、玲菜は帰宅してしまう。

 次の日、大野たちから代わりの補聴器を貰った玲菜は大野の呼び出しで公園へと向かう。大野は補聴器を壊したことへの謝罪を告げた。玲菜も難聴であること告げ、隠していたことを侘びる。それから大野は玲菜へ告白をした。大野は手話を子供にしている玲菜に一目ぼれしていたのだ。大野の陽の部分に惹かれていた玲菜は頷く。

 そして、玲菜は性格が明るくなり、アルバイトの先輩の嫌味にも動じない強い心を持ったのだった。