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ゴルフプラネット 第4巻

【第1回】まえがき/読むゴルフに目覚めた時

2014.12.15 | 篠原嗣典

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まえがき

 

 Golf Planet で最も人気のある曜日が金曜日です。

 書き手の私も単純に書くのが楽しいのが金曜日です。

 2000年の「想いの金曜日」を今回読み返してみて、書きたいことに溢れていると感じました。

 

 Golf Planet を創刊する時に、イメージしたのはゴルフ談義を読むものだったのですけど、金曜日は理想に最も近いものになりました。

 

 プレーするゴルフは人を狂わせる魅力を持っています。

 ゴルフに似た遊びなのにゴルフをしていると勘違いしたままの人がたくさんいるのは、その魅力がなせる技です。

 そういう人たちに、本当のゴルフを紹介したい気持ちが、色々なエピソードに滲んでいます。

 

 ゴルファーになりきれていない人が読みながらゴルファーとして無意識に覚醒できたら……

 既にゴルファーになっている人には、ゴルフがより好きになれたら……

 

 ゴルフができる惑星に生まれて来た幸せを互いに喜び合えることは、ゴルファーにとってかけがえのない時間です。

 

 ゴルファーの時間を楽しんでもらえれば幸いです。

 

(2013年2月)

 

 

●読むゴルフに目覚めた時

 

 高校生までの私は常にゴルフに飢えていた。

 

 父を始めとして、手放しでゴルフをやらせてくれるという環境はなかった。コースは夏休みなどの長い休みに数回と、公式戦に出る練習ラウンドと本番。他の選手に比べたら贔屓目に見て半分、実際には4分の1程度のラウンド量しかなかった。そして、公立高校に通っていた私にはゴルフ部もなかった。

 

 アルバイトしたお金で練習に行っても、月に300球も打てなかった。辛うじて庭にネットがあり、練習環境はあったが、ボールが飛んでいく方向と高さは分かっても曲がりの詳細は分からない……。

 

 それでもゴルフが大好きだった。

 一瞬たりともゴルフから離れたくない。そんな気持ちが、祖父の本棚にあった1冊の本を開かせた。

 

 いわゆる初心者用の図解レッスン書だった。当時の私は常時70台でプレーするにはどうしたら良いか? というレベルにあったので、中身が特に参考になるということはなかった。しかし、その解説が面白くてたまらなかったのだ。

 

 3番アイアンの解説は

 「大概の人がバッグに入れているが大概の人が打てない不思議なクラブ」

 1番アイアンの解説は

 「バッグに入っているだけで羨望の眼差しを得られる魔法のクラブ。また、ゴルフを始めたばかりの人がティアップしてドライバー代わりに上手にボールをヒットすることもある魔法のクラブ」

 

 それが読むゴルフに目覚めた瞬間だった。

 

 スコア以外にもゴルフには十分な魅力がある。

 ゴルフ談義をする時に、スコア自慢、レッスン披露にしかならない人に心から同情する。少し視点を変えてみれば、誰でもたくさんのエピソードを持っているものだ。

 

 ゴルフには脇役がいない。全てのゴルファーは主役なのだ。

 

 読むゴルフへ、ようこそ。

 

(2000年2月18日)