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宇宙船とベイビー

【第1回】珊瑚礁

2014.12.11 | 暁方ミセイ

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珊瑚礁

 

 

混乱のなかに激しい明るさがあった。
わたしはせわしくそれを食い
白い脳を潰した。
ゆっくり、夢の海へ近寄った。


その時、
世界が目の上で等しくなる。
透けた歯が水中にたくさん生え揃って
どこまでがその全姿かわからない一匹の獣が
湧き水を飲んでいる。
月の形をした入江で

花の頸部や、蟻の腹をした、
生き物が絶えず繁殖しては
殻になって
雪のように沈殿している。
そうして明かりが点いて、内側に誰もいなくなる。


やがて、昼過ぎになると、真白かった海岸が思い出されるだろう。
そこでわれわれが何をしていたか
現実が
どんな表面を反射させていたか、
ずっと後になって
科学者達が調査しにくるだろう。