【第0回】はじめに | マイナビブックス

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はじめに

 

 まずは本書を手にとって下さった事に御礼申し上げます。

 本書では、初めて不動産を買おうとしている人、投資対象のひとつとして不動産投資を考えているが判断に迷っている人など、どちらかというと不動産投資に対して初心者に近い方々に、「不動産投資というものがどういうものなのか」または「不動産を買うといくらの収入になるの?」など、初歩的な事を分かりやすく理解してもらいたいと思っています。

 私は、株やFXへの投資歴が長く、この分野では一般投資家の方達へ多少の投資アドバイスをしてきましましたが、不動産については知識もなく、不動産投資の経験は全くありませんでした。 

 また、中堅の建設会社に勤務する、普通のサラリーマンです。現在、広島に単身赴任中で、年収も普通です。そんな環境の中、2013年1月に、初めて横浜にアパート一棟を購入し、その後一年以内に横浜と都内に二棟購入し、現在三棟のアパートを所有しています。

 初めての物件を購入する前には、かなりの数の不動産関連の本を読み猛勉強しました。どの本も役に立つ内容ではあったのですが、初心者である私には、ある二つの、ものたらなさを感じていました。

 一つは、そもそも数ある投資対象の中で、不動産投資を選択する事がベストな選択なのか? 他の金融商品(株式、外貨、投資信託等)でなく不動産に投資するメリットは何か? デメリットは何か? この事にふれている書物があまりありませんでした。

 当たり前の事ですが、「不動産投資」に関する書物は、投資である対象が不動産であり、それがベストである、という前提で書かれております。

 私は、金融商品への投資についての、仕組みやテクニック、メリットやデメリットは理解しているのですが、不動産投資との決定的な違いが分かりませんでした。

 未熟ながら様々な本に目を通し、いろいろな方の話を聞いた結論として、私は、「不動産投資を行う」、という選択をしましたが、不動産投資が、必ずしも皆さんにとって正しい投資対象というわけでもありません。その人の目指す人生設計、取り巻く環境によって、人それぞれベストな投資対象は違います。

 ですから本書では、不動産投資の本でありながら、「不動産投資がベストな選択」という前提ではなく、他の投資対象(株、FX、投信)と比較しながら、それぞれのいい面、悪い面の比較を行いつつ、不動産投資自体を理解していただければと思います。

 二つ目は、これはどうしようもない事ですが、「時代によって投資環境は変わる」とういう事実です。

 もし読者の皆様が、様々な検討をした結果、「不動産投資を行う」との判断に至ったとしても、誰でもいつでも希望に沿った物件を買えるわけではありません。

「不動産投資を買う」という行為には、超えなければならないハードルがあります。当たり前の事ですが、良質な物件を探す術、またそれを買える資金を調達しなければ不動産投資はできません。

 例えば、数年前までに書かれた本は、「不動産をオーバーローンで買う方法」といったものや、「頭金0円で始める不動産投資」といったように、資金調達に対してシビアでない内容の本が多かった気がします。

 確かにその時代にはその手法が通用していたのかもしれません。ただリーマンショック以降、特に2010年以降、銀行の収益不動産への投資スタンスは急速に厳しくなっています。収益が上がっている物件であっても、誰でもローンがつく時代ではありません。その事を理解しないで物件探しをしても、徒労に終わってしまいます。

 また、リーマンショック後、金融市場で痛手を被った富裕層の個人が、比較的安全な国内不動産投資市場参入してきています。結果、競争が激化し、良質な物件の数も少なくなり、利回りも落ちているのが現状です。

 私がタイトルにわざわざ2013年と記したのは、「今の時代に買った」という事実を説明したかったが故です。勿論、5年後、10年後においては、この本の内容も当てはまらない事象が多くなっている事でしょう。ただ、もしこの時代に、不動産投資を行なうのなら、多少なりとも参考になることと思います。

 本書では、まず大まかな不動産投資全体についてイメージを掴んでいただき、その後、物件探し、実際のファイナンス、留意する点について触れ、最後に大家さんとはどういったものかを書き記そうと思っております。

 不動産投資初心者の方には是非読んで頂き、「不動産投資がどういうものなのか」「他の投資と何が違うのか」など、不動産投資の基礎知識全般を理解していただきたいと思っております。

「究極の購入術」だとか「最強の裏技」みたいな事を書いてある本がありますが、この本にはそういう奇跡的手法は書かれていません。

 私はそんな神技は知りませんし、非現実的だと思っていますから。

 また、すでに複数の物件を所有している方や不動産業界の方にとっては、不動産については、若干簡単な内容になっていると思いますが、私自身の投資、お金、経済に対する考え方は、皆様の今後の投資活動に、少しはお役に立てるものと自負しております。

 最後になりましたが、不動産投資をするか否かに関係なく、この本が、不動産投資に興味もつ読者の皆様の、穏やかでゆとりある人生を過ごすための一助になれば、この上なく幸いです。