【第3回】貯金について | マイナビブックス

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3 貯金について

 

 物件を買うためには資金が必要です。物件代金のすべてをキャッシュで買えるような、羨ましいかぎりのお金持ちは別として、大半の人は借り入れによって資金調達します。これをファイナンスと呼びますが、1円の貯金もない人間に、金融機関はお金を貸してくれるでしょうか?

 答えはNoです。一昔前なら、「頭金0円でも収益物件を買える」といった事が可能だったかもしれません。

 しかし金融機関の融資姿勢が厳しくなってきているこの時代において、金融機関によほど強力な繋がりがある、または大富豪が連帯保証人になってくれるなど、特異な場合以外では、まず貯金0円では、金融機関はお金をかしてくれません。

 そもそも物件自体が収益性の高いものなら、物件相応の融資金額の借り入れが出来るはずなのに、なぜ貯金が必要なのか? この事については、私も疑問に感じていましたが、ある銀行の融資担当者からの話を聞いて合点がいきました。

 その担当者が言うには、

「銀行が収益物件に融資するという事は、その人の不動産賃貸業というビジネスに融資するという意味です。銀行がビジネスに融資する際、必ず見るのは、収益性と本人の人間性です。ビジネスを本気で考えているのに、今まで何の貯金もしなかった人を信じますか? その事業が成功すると思いますか?」

 美容院、ラーメン屋さん、ネイルサロン、個人の方でも、若いながら、銀行の融資を受けて独立している方はたくさんいます。もしかして彼らの貯金は少なかったかもしれません。ただそれが何年もかけてコツコツ貯めたお金だったらどうでしょう。また、彼らは若い頃から、いつかは独立という夢を持って、辛い下積みに耐え、技術を磨いてきたのでしょう。そういう努力できる人間性、という部分を評価して銀行はお金を融資しているのだと思います。

 確かに預金するのは大変です。一ヶ月に3万円の貯金をしても、5年かかっても200万にならないのですから。でも、毎月コツコツ預金ができる人間、そういう人間性を銀行は評価してくれます。今現在預金のない方は、まず預金をする、という努力から始めてみて下さい。厳しい言い方ですが、それが銀行と付き合うための最低限の条件なのですから。