（日本将棋連盟　矢内理絵子　女流棋士会会長）

【矢内女流棋士会会長の祝辞】
加藤さん、女王獲得おめでとうございます。今日はどのようなごあいさつをさせていただこうかと思って、いろいろ考えてきたのですが、先ほどの加藤さんの話を聞いていて、すべて吹き飛んでしまいました。これほどまっすぐに、素直に、しっかりとごあいさつをされているだけで本当に心をうたれました。

強くなってきてタイトルを獲得したりしますと、出る杭は打たれるではありませんが、敵ができてくることもあって、私もそういう感じがしたんですけども、加藤さんにはそういう感じがまったくないなと。それは加藤さんが盤上ではひたむきに、盤外でもスポンサーの方々、関係者の方々、そしてファンのみなさまに対して、常に感謝の気持ちをもって、しっかりとその気持ちを表しているから、これだけ多くの方が彼女を応援しようという気持ちになるんだろうなと思いました。そういった謙虚な姿というのは、彼女は女流棋士ではありませんけれども、女流棋士が持たなくてはいけない姿だと思いました。

みなさまのご支援のおかげをもちまして、女流棋士も発足して40周年を迎えることができました。先日、みなさまにもお祝いしていただきました。これからの一歩を進むにあたりまして、盤上も盤外も加藤さんをしっかりと見習って頑張っていかなくてはいけないと、本日あらためて感じました。私もがんばります。

最後になりましたが、マイナビ女子オープンを運営していただいております、株式会社マイナビ様には心より御礼申し上げます。本日はありがとうございました。

（加藤女王の師匠である、安恵照剛八段が乾杯挨拶を務めた）

【安恵八段の挨拶】
彼女は日ごろから対局のために非常に精進しております。いろいろなところで彼女が勉強しているという話も聞きます。その努力が実ったのではないかと思います。これからも上を目指して精進してもらいたいと思います。

（牛蒡）

（謝辞を述べる加藤桃子女王）

【加藤女王の謝辞】
みなさま、こんばんは。第７期女王となりました加藤桃子です。本日はたくさんのみなさまにお越しいただきまして、まことにありがとうございます。遠方よりお越しいただいた方には重ねて御礼申し上げます。

昨年末の失冠から今回のマイナビ女子オープンの挑戦権を獲得できまして、私はとても運がいいなと思いました。それは里見先生とまた盤をはさむことができる、そして大舞台で成長を実感したいという思いから、少しでも内容のよい将棋、簡単に土俵を割らない将棋を指したいと思ったからです。

池上本門寺さまでの開幕局は、仏様とお客様に見守られて、私にとって初めての公開対局ということもあり、振り駒からとても緊張しました。午後からは移動しての対局で、お庭の景色がとても素晴らしく、心穏やかにさせてくれました。

２局目の陣屋さまは、多くの偉大な先生方が大熱戦を繰り広げられた対局場なので、同じ場所で私も対局できることをとても楽しみにしていました。本局は私のわるいくせが出てしまい、痛い敗戦となり、少し不安になってしまいました。そんなときに普段からお世話になっている棋士の先生方や将棋ファンのみなさまにお声がけいただいたり、お手紙をいただいたり、励ましていただいたことが本当に心の支えになりました。ありがとうございます。

第３局の天童市は桜が満開で本当に美しかったです。滝の湯ホテルさまをはじめ、地元のみなさまに温かく迎えていただき、心が温まりました。さらには勝利者として天童市さまより名前の入った置き駒を贈っていただきました。本当に感謝しております。

最終局は序盤から終始苦しみながらも、最後まで諦めずに気持ちを奮い立たせて戦うことができました。いま思うと、あの将棋を勝ちきることができたのは、それまでの里見先生との対局で学ばせていただいた、勝つことへの執念、盤に向かう姿勢が大きかったのかなと思います。

今回もたくさんの方に出会い、さまざまな経験をさせていただきました。大きな課題と成長を実感する貴重な機会を与えてくださいました株式会社マイナビ様には心より感謝申し上げます。また、将棋ファンのみなさま、関係者のみなさまには、あらためて御礼申し上げます。ありがとうございます。

日ごろからの感謝の気持ちをこのような形で述べさせていただくことことは、大変特別なことでして、女王になれて本当によかったと思っております。これからも、もっと強くなれるように日々精進してまいりますので、ご指導のほどよろしくお願いします。ありがとうございました。

（牛蒡）

（牛蒡）

（中川社長から優勝杯が手渡された）

（優勝賞金の授与。賞金は500万円）

（谷川会長から加藤女王へ就位状の授与）

（牛蒡）

（株式会社マイナビ　中川信行　代表取締役社長）

【中川社長の挨拶】
マイナビ女子オープンも今期で７回目を迎えました。その前にレディースオープン・トーナメントという棋戦を20回おこなっておりまして、あわせて今年で27年目となります。我々が将棋関連の出版を始めてからは35～36年になりますか。今後とも将棋界・女流棋士界を盛り上げて、多くの方に将棋ファンになっていただいて、週刊将棋や将棋世界をご購入いただければと思います。よろしくお願いします。

加藤さんは皆さんご存知のようにまだ19歳ということで、非常に若い女王でございます。また、現在奨励会初段ということですので、ぜひ女性初のプロ四段を目指していただきたいと思っております。今後も私どもはマイナビ女子オープンを続けていくつもりでおりますので、２連覇、３連覇、４連覇を目指して頑張っていただきたいと思います。

（日本将棋連盟　谷川浩司　会長）

【谷川会長の挨拶】
加藤さんの２勝１敗で迎えた第４局は関西将棋会館で行われまして、このときの対局は私も午後からずっとみておりました。加藤さんが苦しい将棋を粘って、逆転勝ちして、タイトルを獲得をしたのですが、そのときにお二人の対局姿をみて思ったことがありますので、少しお話しさせていただきます。

加藤さんはマイナビ女子オープンでは非常に素晴らしい結果を残されたわけですけども、去年はタイトル（女流王座）を失って、また奨励会でも１級から初段に昇段するまでに約３年かかりました。里見さんも１年前は女流のタイトルを独占するかというほどの勢いだったのですが、その後は少しタイトルを失って、また、奨励会も昨年末に三段に昇段したのですが、ちょっと体調を崩してしまって半年間休場ということになりました。

お二人ともなかなか思い通りにいかない、もどかしさというものを感じておられるのではないかと思うのですけども、人生にむだな時間はないのだろうと思います。同じように努力をしていても結果が出るときとそうでないときがあります。飛躍的に力が伸びるときと力を蓄えるときを繰り返して、若い人は成長していくのではないかと思っています。加藤さんも里見さんも将棋にかける真摯な思いというのは、周りの誰もが認めているところですから、焦らずに自分の道を進んでいただいて、何年かたったときに今の自分があるのは、あのとき苦労したおかげだとなればよいと思っております。

今日は加藤さんのお祝いの会ですので、加藤さんのお話だけをするべきなのですが、今日来られた方で里見さんを心配されている方もいらっしゃると思いますので、お二人へのメッセージということでお話しさせていただきました。加藤さんのこれらからのますますの活躍と、マイナビ女子オープンのさらなる発展を祈念してごあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。

（静岡県牧之原市　西原茂樹　市長）

【西原市長の祝辞】
桃子ちゃんの出身地の静岡県牧之原市の西原茂樹でございます。桃子ちゃんは小学校５年生のときにお父さんとお母さんに連れられて、全国でタイトルを獲ったということで私のところへみえました。メガネをかけて、目がくりくりした子だなという印象でした。今はそのときの印象に美しさが加わりました。本当にきれいになられました。

桃子ちゃんは来年成人式を迎えます。今日は振袖を着てこられました。牧之原には全国一の牧之原台地の大茶園がございまして、３月４月には台地一面がこの色（加藤女王の振袖は若草色）になります。そういったことを彼女は主張してくれたのかなと思いまして、私は感動しました。私はいま東京で、そして全国で活躍しているけど、お茶の大産地の牧之原で育ったんだと。お父さんとお母さんに将棋を教わって、地元のみなさんと指して、ここまで駆けのぼってきたと。本当にうれしいと思います。

先ほど谷川会長からもお話がありましたが、ちょっとスランプがあったり、苦しかった時期がありましたけれども、必ずプロの棋士になると私たちは思っております。牧之原市が誕生して来年で10周年になります。これは希望ですけども、桃子ちゃんの成人とあわせて、マイナビ女子オープンの対局を（牧之原市で）できればと思っております。ぜひこれからも桃子ちゃんを応援していただきますよう、心からお願い申し上げまして、地元の市長のあいさつとさせていただきます。

（牛蒡）