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雨宮編集長のコゴト@カロリーナ

2015.07.04 | 週刊将棋編集部

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 西洋の歴史には詳しくないので、ポーランドが近代において列強に翻弄された国だという程度の知識しかなかった。現代のポーランドには、敬愛する押井守監督の実写映画「アヴァロン」が撮影された国、というのが情けなくも唯一のイメージだった。コペルニクスやショパンの名前は知っていても、はて、お国はどちらでしたっけ?

 そんな国から、1人の女性がやってきた。彼女は自分の名前とともに、母国の名を将棋界の歴史に刻みつけた。彼女のおかげでポーランドは忘れられない国になった。ポーランドにおける彼女は、少なくとも私の中ではコペルニクスやショパンを超えている。おおげさとは思うが、たとえばアメリカ人にとって野茂英雄やイチローが、豊臣秀吉や坂本竜馬以上の存在であるようなものだ。

 来日から2年。本人にとっては長かったかもしれないが、筆者はよくぞこの短期間で、と思う。2年なら、後に続く人が「頑張ってみよう」と思えるのではないか。資金援助をしようという人もいるのではないか。そういう現実的な目安を作った功績は小さくない。

 女流3級は仮資格なので、2年以内に規定の成績を挙げる必要がある。彼女の場合、女流王座戦での実績を見れば、そのハードルは高くないと思える。そこを越えられれば、女流初段も時間の問題だろう。もちろん、慣れなければいけない事は多々あるはずだ。そして周囲も彼女に慣れる。思うように勝てない時期があるかもしれない。うまく乗り越えてほしい。

 さて、カロリーナ・ステチェンスカ。この名前に、少々頭を悩ましている。カロリーナは国によってキャロラインとかカロリーヌとかカロリンなどになるらしい。西洋では普通の女性の名前ということか。
 いや、問題はそういうことではなく、本紙ではこんな長い名前の棋士は想定していなかったので、いろいろな欄でどう表記するか考えなければならないのだ。

 フルネーム表記が難しい場合、通常は姓を優先するので、ステチェンスカ女流3級となる。これでもトーナメント表やリーグ表に組み込むときは、かなり縮小する必要がある。といって、K・Sのようなイニシャル表記では味がない。
 だいたいこのステチェンスカという姓は、他のカタカナ表記を見たこともあるくらいで、ポーランド語の発音を正確に再現しているものでもないそうだ(そもそも正確なカタカナ表記など無理、という話もある)。ちなみに、ポーランドは姓の多い国として有名らしい。
 いっそのこと、すでにカロリーナという名前の通りがいいので、例外的にカロリーナ女流3級にするか? ステチェンスカより2文字少ないし。姓名逆順文化では、ファーストネームのほうが重視されたりするかもしれない。でも、日本人にあてはめると、イチヨ女流六段とかベニ女流1級になる。変なのかな?
 これ、けっこう難問なのです。