2016.08.08
アップルが今年もサンフランシスコのLGBTプライド・パレードに参加した。年々行進の規模が拡大しているこのパレードで、沿道からはアップルに一際大きな歓声が送られた。多様性に関して、アップルは今なお従業員構成に偏りがあると批判されている一方で、LGBTコミュニティからは歓迎され、大きな存在感を示している。
ダイバーシティを尊重して30年
6月26日に米サンフランシスコで開催されたプライド・パレードにアップルが参加した。数千人の社員とともにCEOのティム・クック氏も行進し、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字を取った呼称)を含む多様性を受け容れていく姿勢を強くアピールした。
2014年にメイキングビデオ「プライド(Pride)」を公開してからアップルのプライド・パレード参加はよく知られるようになったが、アップルとLGBTコミュニティの関わりは長い。性別、ルーツ、宗教や文化といったさまざまな違いを越えて尊重し合うために、アップルにはダイバーシティ・ネットワーク・アソシエーション(DNA)という従業員グループがある。その最初の団体が「Pride@Apple」であり、誕生してから今年で30周年になる。それを記念して、今年はプライドイベントに参加登録したすべての社員にレインボーカラーのアップルウォッチバンドを配布した。
ここ数年、シリコンバレー企業は「多様性に欠ける」という批判を浴びてきた。アップルも例外ではない。実際、今年1月に同社が公開した従業員の多様性に関する最新レポートによると、昨年にマイノリティの雇用が大きく増加したものの、全体の構成の中ではマイノリティの割合が微増したに過ぎない。特に技術部門や管理職が男性・白人に偏っていることが再び批判の対象になった。一方で、アップルを多様性に配慮した代表的な企業の1つに数える人も増えている。プライド・パレードで沿道から大きな歓声が上がっていたことが、それを証明している。従業員構成に偏りのあるアップルが、多様性が問われるプライドイベントで大歓迎を受けているのだ。