先を見据えたアップルの事業戦略 活路はエンタープライズ市場にあり|MacFan

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IBM、シスコ、SAP...相次ぐ有名企業との提携の狙いは?

先を見据えたアップルの事業戦略 活路はエンタープライズ市場にあり

文●氷川りそな

2016年5月5日、アップルは新たに世界的なソフトウェア会社であるSAPとの提携を発表した。SAPはエンタープライズビジネスソフトを主力製品としている企業だが、IBMやシスコに続き、アップルはなぜここまでエンタープライズ市場に力を入れているのだろうか。その理由を考察する。

新たな提携を発表

普段プライベートのみでiOSデバイスを利用しているユーザにとって、今回のアップルの発表はあまり馴染みのないものかもしれない。それは、業務用ネイティブアプリケーション開発に向け独SAP社と提携し、新しいiOS向けSDK(ソフトウェア開発キット)を共同で開発するといった内容のものだった。

SAPはドイツ中西部のヴァルドルフに本社を置くヨーロッパ最大級のソフトウェア会社で、同分野では売上高で世界で第4位を誇る大企業だ。同社は会計・物流・販売・人事に関する企業向けシステム(ERP)などのエンタープライズビジネスソフトを主力製品としており、世界120カ国以上、31万以上の企業で導入されている。ユーザ数は120万人を超え、まさにエンタープライズ分野におけるデファクトスタンダードの地位を確立しているといっていいだろう。

アップルとSAPの協業は、多くの企業にとって非常に高いメリットがあるはずだ。SAPを導入する企業の多くは物流や販売をメインに扱うことが多く、こういった現場においてiPhoneやiPadといったモバイルデバイスを業務活用したいというニーズは高く、導入実績も多くみられる。

また、「SAP HANA」と呼ばれる、膨大なサイズのデータをリアルタイム解析に使用できるようにするソリューションも用意されている。これを採用することによって、企業規模の大小を問わず、すべてのスタッフが同時にデータベースへと快適にアクセスできる環境が整う。ここにiOSベースのネイティブアプリが大量に登場することになれば、SAPの使い勝手も劇的な向上が期待できる。




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