「A Message to Our Customers」|MacFan

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「A Message to Our Customers」

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Apple・ティム・クックCEOの公開書簡「A Message to Our Customers」が話題になっています。カリフォルニア州サンベルナルディーノの福祉施設で起きた銃乱射事件を発端に、米政府からiPhoneの暗号化を外すよう要請されたこと等を受け、アップルは同社WEBサイトでNo!と拒否し、一連の経緯と同社のプライバシーに対する考えを提示、ならびに暗号化技術使用への理解(と支持)をパブリックに求めています。

重大なテロ事件などが起きたときにiPhoneの中で固く守られている情報はバックドアを設けることで第三者からもアクセス可能とするのか、それともアップルがいうように今回の事件をはるかに超えた影響が引き起こされる可能性があり、例外なくユーザのプライバシーは守られるべきなのか。一筋縄ではいかない難しい問題ではありますが、一企業が米政府に対してこのような形で公に反対声明したことは、常にユーザ目線で考えるアップルという企業の確固とした姿勢を人々に改めて強く示すのに十分過ぎるほどでした。

強固な意志に人々は魅了されます。今回の騒動が今後どんな展開を迎えるのは非常に気になることですが、どのような形になったとしても、反対を強くアピールしたという事実、そして何よりも「iPhoneは安全なんだ」ということを広く知らしめたことは変わりがありません。特にスマトーフォン市場における堅調を維持するうえで、書簡の真の意図が後者の部分に比重が置かれていたとしてもそれは不思議ではないでしょう。書簡の論点はあくまでプライバシー保護と公共の福祉/安全という政治倫理的なものし、それを英語が母国語でない人でも理解できるようにシンプルかつわかりやすい文章で届けていることなどからも、アップルのしたたかさと巧みさが見て取れます。

Appleとプロダクトとプライバシー。個人情報は実に身近な問題ですから、本誌でも大々的に記事を取り上げたいといつも思っていました。ただ、セキュリティやプライバシーと書くとなんだかカタイ。それに重要だとはわかっていても、データのバックアップと同じでなんだか重い腰が上がらない、そんな人は多いと思います。ただ、少しでも今回のアップルの書簡とそれにまつわる報道等で関心を持つ人が増えたのではないでしょうか。まずは「Macとセキュリティ」をテーマに、2月29日発売の4月号で特集をお届けしたいと思います。

●「A Message to Our Customers」
http://www.apple.com/customer-letter/