欧米沈没
- 著作者名:小田切尚登
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- 書籍:913円
- 電子版:628円
- 新書判:240ページ
- ISBN:978-4-8399-4197-0
- 発売日:2012年03月23日
- シリーズ名:マイナビ新書
内容紹介
21世紀はじめの数年間、世界経済は良好だった。しかし、サブプライム・ローン問題が表面化してから、一気にアメリカ経済が傾き始めた。そして一瞬にしてヨーロッパに飛び火し、ギリシャを始めとする各国の国債の返済が厳しくなったことで、アメリカ以上の惨状を引き起こした。
ヨーロッパでは1999年に統一通貨ユーロがスタートし、ヨーロッパ統一への大きな一歩を踏み出したところだったが、金融危機によって、その機運が削がれた格好だ。
欧米の経済は、一部に回復の兆しがあるものの依然として厳しい状況が続いている。それぞれ背景は異なるものの、どちらも経済的な問題から国家・体制が分裂する危機を抱えている。そしてその問題は、表面的な経済危機の回避程度では解決できない問題を根本に抱えている。
経済の状況は数字に表れる。GDP、外国為替レート、財政赤字、経済成長率……などなどだ。それらの数字に対して「ああでもないこうでもない」と考えてシナリオを導き出す人たちがいる。それはそれで非常に大切なことだ。
しかし、数字だけを見ていては見えないことも多い。人間は経済学の教科書にあるような「合理的存在」ではないからだ。「とにかく一番儲かるように常に行動する」などというような人は一人もいない。人間には、一見すると非合理に見える判断が常に入り込んでいる。
その判断に影響を与えているのは、文化、宗教、人種といったものだ。人々の経済行動にはそういう文化的な問題が大きく影響を与えている。
しかし、日本では数字ばかりが話題になる傾向が強く、今回の経済危機の背景についての理解が薄いように思える。日本は文化的なことが国内で問題になることが非常に少ない。少なくとも大半の人は日常生活で、異なる宗教、異なる人種間の対立、複数の言語への対応といった問題を意識することはほとんどないだろう。
そこで、経済面に加え、そういった側面を前面に出して解説したのが本書である。欧米の経済危機についての書籍が多く出版されている中、あえてそこに新たな一冊を加えようと思い至ったのは、このような理由だ。
本書が、欧米危機の本質を理解する手助けになれば幸いである。
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備考
小田切尚登(おだぎり・なおと)
1957年生まれ。東京大学法学部卒業。バンク・オブ・アメリカ、ヒポ・フェラインス(現ウニ・クレディト)、バークレイズ、BNPパリバの四つの大手外資系金融機関で勤務後、経済アナリストとして独立。週刊エコノミストをはじめとする経済誌・新聞などに数多く寄稿しているほか、経済専門テレビ(米国)のCNBCとブルームバーグに数多く出演した。明治大学グローバル経営大学院兼任講師(金融論)。ピアニストとしても活動している。