キャディーマスターは、キャディーを割り振り、スタートを管理する。キャディーを振り分けると言っても、早番や遅番、休みなどから順番にするだけで、ファーストフードのバイトの管理のようなもので簡単なのが普通だ。
しかし、ある程度歴史を重ねたゴルフ場には、色々な問題が起きることがある。
Qというキャディーは、そういう中でも特別な例だといえた。問題があると感じるのは、多くの場合、客との間に挟まれたキャディマスターであり、キャディーにはそういう自覚はないものだ。だから、問題はそのキャディーがいる限り続く。
Qの正確な年齢は誰も知らない。採用された時に提出された履歴書を鵜呑みにすれば、60歳ということになるが、このゴルフ場が開場して40年が過ぎていて、開場時からQはキャディーをしていて、その頃には既に子育てが終わったという話だったことから考えると、実際の年齢は70歳を越えているというのが暗黙の了解になっていた。