空を飛んだリックの本
『19番ホールで軽くやればいつも心はあたたまる』という一風変わった題名の本がある。いや、あった。原著は『A WEE NIP at the 19th HOLE』。辞書を引くと、WEEとはスコットランド語で「ちっちゃい」の意味、A NIPはウイスキーなどの「1杯」の意味である。だから直訳すれば『19番ホールでちょいと1杯』なのだが、翻訳者の奥田祐士さんがメンタルなニュアンスを織り混ぜた日本語タイトルを考えた。
著者はオールドコースのキャディ・パビリオン(キャディ・マスター室)の主、知る人ぞ知るリチャード・マッケンジーである。オーストラリアから来た人で、キャディを経て1993年に現職のキャディ・マネージャーに上がった。聡明で勉強家、この上ない地の利を得てキャディの歴史、生活、逸話を丹念に調べ上げ、独特の文才で伝説の数々を書き上げ、1997年に出版された。