【第3回】■吉原・置屋 | マイナビブックス

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吉原のエース 上演台本

【第3回】■吉原・置屋

2016.02.10 | 山野辺一記(エッジワークス)

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■吉原・置屋

 

   逃げてきた菜奈美姫たち。

 

【奈美姫 心情描写】どうして、タツがここにいたの? 再会に心ときめきながら、不安な気分。

 

   菜奈美姫と勝之進の話を聞くタツとパンチョ。

   パンチョに、

 

菜奈美姫 「パンチョ。なぜ、あなたが吉原にいるの? あなたがいるということは…まさか…」

パンチョ 「…」

勝之進  「久しぶりだね、兄さん」

 

   タツ登場。

 

タツ   「久しぶり、菜奈美姫」

菜奈美姫 「タっちゃん…」

タツ   「元気だった、菜奈美姫も?」

菜奈美姫 「ええ」

菜奈美姫 「足立藩を脱藩した後、行方知れずだったのに。タッちゃん、ここにいたの?」

タツ   「ああ。ここで忘八として働いてたんだぜ。ここのご飯、案外美味しくてさ」

勝之進  「兄さん。お願いだ。菜奈美姫を助けてくれ」

勝之進  「藩主の満家様がお亡くなりになって足立藩は今、大変なことになっているんだ」

タツ   「俺?無理無理。俺は脱藩したんだぜ」

菜奈美姫 「助けて、タっちゃん」

タツ   「いやさあ、俺はもう武士やめちゃったし。幕府へいっさいがっさいお家騒動のこと話して、幕府に喧嘩の仲裁してもらえれば」

菜奈美姫 「それができれば、最初から問題ないわ」

菜奈美姫 「タッちゃんのバカ!」

 

   菜奈美姫退場。

 

勝之進  「兄さん、どうして脱藩なんか、したんだい?」

タツ   「そりゃ、踊りがイヤになったのさ」

勝之進  「違うよ。僕は菜奈美姫のことが好きだった。でもそれを知った兄さんは、わざと老中の息子の八郎太をボコボコにして、お役御免になって、身を引いたんだ」

タツ   「そんなわけ、ないだろう」

タツ   「な、パンチョ」

パンチョ 「ニャオン~」

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