【第2回】雪には勝てず | マイナビブックス

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ゴルフプラネット 第24巻

【第2回】雪には勝てず

2016.01.21 | 篠原嗣典

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雪には勝てず

 

 大晦日のゴルフはゴルフ場が降雪の為にクローズになり中止になった。大晦日にゴルフが出来ないのは20数年振りとかで、なんだか1年が終わらないまま正月を過ごしたような妙な気分である。

 

 大晦日に練習場で練習をしたが、東京は昼過ぎから大雪で、降りしきる雪で視界はヤードだった。帰りはあちこちで車が立ち往生しているほどで、もし、ゴルフ場がオープンしても大変なことになっていただろうとホッとしたりしていた。

 

 30日にクローズが決まったとき、実は、他の所でゴルフが出来ないかと考え、いくつかのコースに電話をしていた。「明日は帰りの方が大変だと思いますよ」と、東名高速の周辺と千葉で可能なコースがあったが、口々に天気予報通りだと東京に帰れないのではないか、と心配してくれた。

 

 意地でも大晦日にゴルフをするのだという気持ちがあったが、12名3組が出来なければ、他の人には中止と言っておきながら一部の人だけで別の場所でやるというのはフェアではないと考えた。結果として、3組を受け入れることは無理だということが分かった。

 

 無理だと分かると、帰り道に雪の中で立ち往生する悪夢を想像して震えた。雪道は大嫌いなのだ。

 

 仕事で挨拶に行ったゴルフ場も、雪には参った、とどこも言っていた。どのゴルフ場も、昨年末の予約は異常だったというほど入っていたらしい。喜んでいたのに、29日から大晦日、下手すると元旦までクローズになったのだからたまらない。一つのゴルフ場では、4日間の売上予測は1000万円だったというから本当に悔しかっただろう。

 

 ゴルフ場は雪が降ると雪掻きをする。日陰になる所の雪は放っておいてはいつまでも溶けずに残ってしまうので、それを日なたや邪魔にならない所に移動させたり、日なたでも場所によってグリーンやフェアウェイからは雪を移動させたりする。雪を踏むだけでも溶けやすくなるので、横に1列になって歩いたりすることもある。どの作業も人間が行う。つまり、雪掻きの人数が多ければ多いほど、ゴルフ場は早くオープン出来るのである。

 

 どこのゴルフ場も人減らしをしているので、例年より雪掻きの作業がはかどらなかったと言う声も聞いた。また、大晦日の雪の予報を聞いて、雪掻きをしても、またその上に降ると諦めて放置していたというコースもあったらしい。

 

 まあ、自然には勝てない、ということである。どんな天候でもゴルフはやるのだと胸を張っても、雪だけはプレーすることが出来ない。

 

 年明け早々、もしかするとノロウィルスだったのではないかという酷い嘔吐と下痢で苦しんだ関係で、初打ちが未だ出来ていない。この週末で初打ちにコースに行く予定だったのであるが……

 

 天気予報では雪だるまのマークが嬉しそうにしている。対抗手段は、てるてる坊主を吊すことと、何度も何度も天気予報を『せめて曇!』と願いを込めて見ることぐらいである。

 

 年末に色々とヒントを得たのに練習も出来ていない。それでも、ラウンドをしにゴルフ場には行きたい。

 

 甥っ子は、雪が降ると家から出てはいけないと言われているらしく、雪だるまを作って遊んだことがないと聞き、今度雪が降ったら一緒に雪だるまを作ろうと約束している。それはそれとして、早く初打ちがしたいものである。

 

 雪は家の中からだけ見ていれば、何ともロマンチックである。しかし、ゴルファーにとっては天敵であり、絶対に勝てないものである。

(2005年1月14日)