まえがき
16巻はゴルフができる幸せに感謝することをテーマに2003年に書かれたものです。
ゴルフを色々な角度から見た話が出てきますが、ネットゴルフ界が本格的に動き出した時期でした。Golf Planetがその流れの中で翻弄されている話も出てきます。
結果を知っている現在から見れば、苦笑いしてしまうような部分もありましたが、ゴルフへの情熱は感じます。
日本女子アマに中学生がたくさんでていると驚いている話が出てきます。
彼女たちは現在の女子ツアーの中心選手です。約10年という月日をリアルに感じます。
ゴルフの面白さを多くの人に伝えるのが、Golf Planetの存在理由です。2003年は、その根底を確認して、自分なりの答えを見つけた1年でした。
ゴルフは本当に面白いゲームです。
それを単なるスポーツにしてしまうのも、遊びにしてしまうのも、個々に任されているのに、面白さは共有できるのです。
しかし、共有できるゴルフの面白さは一部だけなのです。
一部ではなく、できる限り多くの面白さを共有しようとすれば、ゴルフの神髄を学び、理解する必要があります。
16巻はゴルフの面白さを広げます。とことんゴルフを楽しむきっかけになることを願っています。
(2013年6月)
初夢の真相
初夢でホールインワンをする夢を見たという方の話を聞いた。スコアも伸び悩み、新しい道具選びにも限界を感じ、ゴルフに目標がなくなってきていると感じていた矢先の嬉しい夢だったそうだ。
はたして、ホールインワンが目標としてどうなのかは今イチわからないけれど、その方にとっては非常に意味のあることであり、練習場でアイアンを練習する時間が増えた、と楽しそうに話すのだから良いことなのだと思うしかない。
ゴルファーにとって初夢の内容が、一富士二鷹三茄子のような縁起の良いものがあるわけではないが、とりあえず、ゴルフに関連する初夢は縁起物だと思っていいような気がする。
私も今年、一応ゴルフに関する初夢を見た。
多くの夢がそうであるように変な夢だった。
いきなりゴルフ場にいた。スタートホールとクラブハウスの間を歩いていると、昨年なくなった祖父が正面から歩いてくるところから夢は始まった。祖父は最も自らが気に入っていたピンストライプの濃紺のスーツを着ていて、ゴルフ場では違和感があった。それ以前に、死んじゃったのにゴルフ場に出てくるなんて、と私はゴルフに未練があるのか? と心配したりしていた。
祖父は「おう」と私に声を掛けて、そのまま私の脇を素通りしようとした。私はもっと祖父と話したいことがあるのにそのまま動けない。見えない背中側で誰かがスタートするのが音と雰囲気でわかる。どうやら、祖父がスタートするようだった。
私は、祖父の棺の中に入れた新しい道具の目録を思い出した。よく飛ぶドライバー、フェアウェイウッド、アイアン、パター……。キャディバッグもラインアップしたはずだった。その道具を使ってゴルフをする祖父が見たい。でも、体は動かなかった。
そこで目が覚めた。
祖父の仏壇にお線香をあげた。手を合わせながら苦笑いした。あまりにも妙な初夢だったからだ。
その後、練習に行き、打席で何気なく他の人を見ていた時、突然閃いた。
『ゴルフウェアを忘れた』
祖父はお洒落だった。毎年、ゴルフウェアを新調した。ゴルフブランドの最新版のウェアを来てゴルフをすることは、毎回、毎ショット同じ状態がないゴルフと同様に新しい自分を認識するハウツーなのだとよく言っていた。
個人的なポリシーは個人のものとして尊重するしかないが、私は棺に入れた目録にゴルフウェアを入れていなかった。だから、スーツで(お気に入りのスーツは棺に入れた)ゴルフ場にいる夢を見たのだ、と思った。
オカルト話ではなく、心の問題である。
慌ててゴルフウェアの目録を作って、庭で燃やした。
この初夢が私に残す教訓は何なのか。
わかったつもり、知ってるつもり、出来ているつもり、いわゆる思い込みに関する警告なのだろうか。
単におっちょこちょいな性格に対する警告なのか。
ゴルフに関する初夢であっただけで幸せな気分になっているのは、紛れもない事実であり、警告がどうかは別として、その気持ちだけは大事にしようと思う1月である。
(2003年1月17日)