まえがき
2003年にゴルフの技術と用具をテーマに書いたのが15巻です。
約10年前に書いたものだと、用具については古いと驚くこともあります。この10年間のゴルフ用具がゴルフ史でも特別なほど大改革だったからです。
そういう意味で、歴史を確認する楽しさもあります。
その反面、2013年の春に悩んでいたことと同じことで2003年にも悩んでいたりもするのがゴルフの面白さなのだと、読み返して思いました。
ゴルフはゲームの本質は単純です。だからこそ、悩み出せばキリがないということなのでしょう。
約10年で、全く考えが変わってしまったこともあります。
ゴルフ用品販売をしたいという話が出てきますが、これは現在は頼まれても断るぐらいやる気がありません。10年の歳月でそのくらいの変化はあっても不思議ではありません。
スコアアップするためのヒントがたくさん出てきます。
何度も書いていることもあれば、15巻にしか出てこないものもあります。
読んで上達することは、文字を読むことができるゴルファーにとって理想です。10年前に理想を現実にした人たちがいました。
15巻を読んで、その仲間入りをする人が増えることを祈っています。
(2013年6月)
わからないから良いこと
アプローチがとてもイイ感じだ。
考えられる原因は、ウェッジを新しくしたことだが……、実は良くわからない。
ボビー・ジョーンズは、久しぶりのゴルフの時のアプローチで注意するのは、テークバックが小さくなり過ぎることだ、と語っている。
アプローチの自信の無さは、テークバックが小さくなることで現れるという。
冷静に考えると、これは誰にでも当てはまる。
小さいテークバックから打つアプローチは、体が距離の不足を感知してヘッドを速く動かすことで補おうとする。
必要以上に速くなったインパクトは、トップも生むし、ダブリにもなる。
現役のプロゴルファーを観察しても、低い球を打つ以外は大きなテークバックで加速しない感じでインパクトを迎えるというのがトレンドである。
上げるスピードと降ろすスピードが同じイメージだと達人たちは言うが、頭ではわかっても、簡単に実行できないポイントでもある(勇気を持ってやってみると意外に出来てしまうのも共通した認識だが)。
ヘッドの重さを感じ続けるように振る。
これも、結果として先程までのスピードを一定させる為の別の集中法として有効である。
手の平に掛かるグリップ力はストロークしている間に緩まず、力が入ることもなく、一定でありながら重さを感じる程度の柔らかさも持っていなくてはならない。
視点は変わるが、クラブヘッドのリーディングエッジがボールに対してどんな角度で入っていくかも重要である。
深く入れることが合っている人もいるし、スイープに入るのが合う人もいる。ある程度のレベルになれば、合う合わないではなく、両方が必要に応じて可能でなければならない。
フルショットと比較にならないほどデリケートで、使用範囲が大きく、かつ、方法も多様であるアプローチは、頭で考えれば考えるほど難しくなる。
アプローチが苦手な人の多くは、考えすぎて体が動かなくなってしまうケースである。
2003年正月、私のアプローチは絶好調である。
狙ったところに、狙った球を打つ事が出来る自信がある。それでもボールが寄らないことがあるが、それは、打ち方の問題ではなく、戦略やイメージのミスである。
ここに新たな問題が出てくる。パットで言うところの『読み』である。
打ち方のテクニックと読みのテクニックは別だと考えなければ、打ち方のテクニックに致命的なダメージを与える。自信が無くなってしまうからである。
それも非常に重要なポイントである。
色々と書いたが、結果として、その部分がどのように自分の中で活かされているかは本当にわからない。全てが関係しているだろうし、関係ないとも言える。
わからないけど調子が良く、自信がある。
ゴルフのテクニックで最も頼りになるのは、この様な曖昧さを味方にする事なのだと言える。
(2003年1月9日)