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ゴルフプラネット 第14巻

【第2回】山岳コースでいいじゃない

2016.08.10 | 篠原嗣典

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山岳コースでいいじゃない

 

 山岳コースという評価は、当のゴルフ場にとっては落第点を付けられるようなもので、せめて丘陵コースと呼んでくださいなんてお願いして回る所もある。

 

 私は山岳コースも好きだ。

 

 外国人である程度ゴルフを知っているゴルファーは、概ね日本の山岳コースのファンである。

 その土地の特性を有効に利用して作られたコースが良いコースの条件であるとすれば、国土の半分以上が山である日本には、山岳コースの良いコースがもっとあって欲しいと思ってしまう。

 

 でも、実際には面白い山岳コースは少ない。

 平坦なコースと山岳コースであれば、多くの人が平坦なコースを好む現実が需要となった結果であろう事は、誰もが理解できることではある(自分の中にも好き嫌い以外の理由でそういう傾向があることも自覚しているし)。

 

 考え方を変えてみれば、山岳コースの面白さが見えてくる。

 例えば、砂漠の中にあるコースを想像してみる。点在する浮島を渡り歩くようなエキサイティングなコースを攻めてみたいと思うことは、日頃からゴルフは点で攻める時代になったと息巻いている人にとって当たり前の感情である。

 砂漠の中に作られたコースで評価が高いものは、かなりの高低差を内包しているものが多い。浮島になった場所へ打つ場合、やや打ち下ろす方が視界が確保されるから、そのような作り方をしやすいのが好評の理由である。

 

 情けないことに、山岳コースの作り方も外国人の設計家の方が上手である。打ち下ろしたコースを続けて、一気にゴンドラなどで高度を取り戻すという方法に関しては、単に設計のセンスだけではなく、諸々の設備に関しての建築学的な知識も必要であるということらしい。

 また、乗用カートの利用を前提とした設計も邪道という考え方もある事は承知の上で、特別な例としては受け入れても良いのではないか。

 

 砂漠のコースは、浮島のフェアウェイやグリーンを外してもウェストエリアがあるが、山岳コースではOBだらけになってしまう、という考え方もある。

 それに関しては、OBではなくウォーターハザードにするというウルトラCがある。現に、米国のコースではどこに池があるのかわからない、一見OBだと感じるウォーターハザードを見ることが出来る。

 一般的な国内コースでも、池なのに前進4打を強制して進行を早めようとするOBが少なくない。こういうケースは、全てではないが結構ウォーターハザードの方が進行も早まり、プレーヤーの満足度を高める可能性があると残念でならない。

 

 2003年、2回目にいったコースは本格的な山岳コースだった。クタクタになったが、とにかく楽しかった。初めてプレーした私は見える範囲にボールを止めておきたいと思いながらも、意を決して見えない先にボールを打つドキドキ感とその驚愕の結果に興奮しまくった1日になった。

 

 思うのである。

 山岳コースでいいじゃない、と。

 打ち上げは、決してミスを許さないことでゴルファーを鍛えてくれるし、打ち下ろしは、多少のミスショットには寛大だったりする。

 上がったり下がったりして、急に訪れる平坦なライに大いなる感謝を意識できれば、少しだけ得をした気持ちになれるはずだ。

(2003年1月15日)

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