まえがき
2003年にゴルフコースの話というテーマで書いたのが14巻です。
2003年はタイガー・ウッズがプロデビューしてから約5年でメジャーをガンガンと勝ち続けて、ゴルフコース業界ではコース改造が不可欠だと動き始めていた時期です。
また、国内では前年のサッカーワールドカップで、競技場の芝生を1年中緑に保つという技術が日本中で情報交換された成果で、ベント芝のグリーンの管理が急激にレベルアップし始めた年です。
ゴルフコースについての考え方が変わっていく様子がよくわかります。
短いコースは駄目なコースという風潮は、明らかに2003年から広まりました。バックティを誰でも使えるコースが増えました。
ゴルフ談義として面白い話は、コースの裏側みたいな話がいくつか出てきます。
また、バブルの頃を懐かしむような話も出てきます。
表もあれば裏もある。白いものが本当に白いのかは、見ているだけではわからないことがよくあります。
ゴルフはゴルファーに色々なことを教えてくれますが、ゴルフコースは単に競技場であるだけではないところが面白いのです。
約10年前の話でも、ゴルフコースの話はあまり古さを感じないものが多いのも面白いところです。
ゴルフコースの話はゴルフ談義の基本です。楽しみながら鍛えましょう。
(2013年6月)
コース設計をしてみたいと夢を持っている方に
ゴルフ場のオーナーになってみたいという夢は、ある程度ゴルフをした人間なら大なり小なり持っているものである。
また、同様の視点で、ゴルフ場を設計してみたいという夢もよく耳にする。想像してみよう。自分が設計したコースでプレーするなんて、なんて贅沢なんだろう。これを許された人間は本当に一握りだけの限られた人であり、一般の私たちは指をくわえて眺めているしかないのである。
しかし、ゲームでは可能なのである。
ゲームという文字だけで拒絶反応が出る方も、我慢して読んで欲しい。これから書くゲームには、それだけの価値がある。
ゲームの名前は『シムゴルフ』という。
(http://www.japan.ea.com/simgolf/参考)
実は、このゲームはまだ日本語版が出ていない。今年の2月27日に発売が予定されているが、一応、お試し版がダウンロードできるので、可能な方はダウンロードして世界観を味わって欲しい。
このゲームは、元々シムシティという知る人ぞ知る名作ゲームがベースになっている。シムシティは、市長になり、指定された土地に道路や線路をひき、住宅や警察署・消防署、職場、工場など(この辺が面白い)を配置するゲームである。ただ配置するのでは何も面白くないが、配置した人間や乗り物が動くわけで、良くできたシティはどんどん人口が増え、ダメなシティはどんどん人口が減るのである。
人口が増えて喜んでいると、今度は人口過密の為、交通渋滞などトラブルが起きる。それを解決していくのが、楽しいのだ。
一定の条件をクリアすると、様々な建築物を更に足したりもできるようになる。まあ、長くなってしまったが、神様になって市を上空から作っているイメージなのだ。
このゴルフ版が『シムゴルフ』。
クラブハウスしかない土地に、ティグランドを決めて、グリーンの位置を決めて、フェアウェイを配置し、バンカーを配置、池だって自由自在に作ることが出来る(お試し版はお金が無限にあるが、実際のゲームはお金の許す範囲、破産すればゲームは終わる)。
そして、2番、3番とホールを重ねていくわけだ。
3ホールだけのループでも良し、6ホールのループでも良し、好きなようにレイアウトする(作るホール数によって色々な制限が解除される)。
ホールが完成すると、小さなゴルファーが出てきて作ったコースをプレーして、お金を払ってくれる。彼らは個々が性格を持ったゴルファーでコースを評価するのである。気に入ればメンバーにもなるが、気に入らなければいなくなってしまうこともある。
自分自身でプレーすることもできる。
トーナメントが開催されれば、自らプロゴルファーとして出場できるのである。また、腕前もパラメーターを上げることで上達する。
コースは、国内ベスト100、ベスト18など、ホール毎に表彰の対象になり、受賞するとプレーフィがたくさんもらえるようになる。つまり、良いコース、良いレイアウトを作ることがこのゲームのコツになるが、芝生のメンテナンス、喉が渇いたプレーヤーへの飲み物販売、疲れてしまったプレーヤーへの配慮、進行を早める為の様々な工夫等々、様々な要素が絡み合って、実に面白いのである。
先程紹介したURLに行けば、お試し版をダウンロードできる。とりあえず、試して見ることをオススメする(PCのスペックによっては動かない場合もあるので、条件などを良く読み、自己の責任において実行してほしい)。
『シムゴルフ』は、ゴルファーの夢を実現してくれる。
マス目を埋めるような形でしかレイアウトできないので、限界はあるが、傾斜まで設定できるのは本当に深い。
興味のない読者には、この話は苦痛かもしれないので、ハウツーに誌面を割くことはしないが、興味があり、お試し版で不明点や方法などで聞きたいことがあれば、メールをいただければ幸いである。
この『シムゴルフ』をプレーすることで、コースマネージメントについて実践的に考える機会になることだけは保証する。
普通なら相当な経験がなければわからないことが、神の目になって、下界を見下ろして考えれば一発でわかるということがあるのである。
ゲームとはいえ、かなりのレベルまで夢が現実になったと錯覚できるので、発売日が待たれる(試用版はゲーム内で3年過ぎると終わるので長くはできない。最初にポーズボタンでポーズを掛けて、じっくりとコースを設計してからポーズを外すというワザを使うと結構楽しめる)。
夢見るゴルファーのささやかな楽しみである。
(2003年1月8日)