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ゴルフプラネット 第13巻

【第3回】宮里優作プロデビュー

2016.08.29 | 篠原嗣典

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宮里優作プロデビュー

 

 2003年のゴルフ界でホットな話題の一つが、宮里優作がプロデビューすることである。国内史上最強のアマチュアとまで言われた彼の活躍があれば、沈滞ムードからの脱出もありうると期待されているからである。

 

 しかし、本誌のパトロンには専用の誌面にて書いたが、一つの条件を提示した上で、それがクリアできなければ彼の1年目は苦戦を強いられると予測した。

 条件とは、使用クラブメーカーの契約についてである。

 彼は昨年、ナイキのクラブを使用して戦った。帽子もウェアもナイキ一色、プロ入り前にアマチュアでのオープン競技優勝を狙った最後の1年には、ロマンだけでなくドロドロとした裏の戦いもあったようである。

 

 類い希なる実績を残した宮里は、ブリヂストン(以後、BS)のツアーステージを使用して、多くの経験を積んだ。丸山プロや伊沢プロが蓄積したデータを元に開発されたギアは、背格好が似ている宮里にとって心強い武器だったようだ。トッププロと言われるごく一握りの人には、自分自身に合ったクラブは不可欠である。

 

 過去に才能も実績も持っていながら、プロ入りと同時にそれまでと違う使用クラブと契約し、その微妙な違和感故に全てを失った者は一人ではないし、現役のトッププロにも同様な失敗は数え切れない。

 

 宮里もそうなる危険性を指摘されていた。

 ナイキは暴言覚悟で言えば、企画屋に過ぎないメーカーだ。OEMでBSがクラブを作っている関係で、ナイキとBSは近い関係にあることは間違いないが、近いことと同じことは全く違うのである。

 

 ところが、宮里はプロデビュー戦の直前にBSとの使用契約を発表した。

 私には取材能力がないので詳細はわからない。裏では様々な事情が渦巻いていたのかと想像できる。

 しかし、神様のイタズラのような事情にせよ、父親を始めとする優秀なブレーンのなせる技にせよ、宮里にとっては非常に良いことだと思われて安心した。

 

 アマチュアの試合より、プロとの試合の方が成績がよい傾向が強かった宮里プロの今後が楽しみなのは、ゴルフ界全体の総意である。米ツアーがプロ初戦となった宮里プロの幸多い前途を祈ろう。

(2003年1月21日)

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