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ゴルフプラネット 第12巻

【第3回】ゴルフの伝統を守るUSGAの努力と迷走

2016.08.18 | 篠原嗣典

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ゴルフの伝統を守るUSGAの努力と迷走

 

 先週の誌面で、クラブヘッドの容積とクラブの長さについて、USGAがメーカーへのヒアリングを始めた話について書いた。R&Aも原則として、今後は用具についてUSGAと歩調を合わせるという方針は発表されているので、高反発フェースのように対岸の火事という訳にはいかない話なのである。

 

 初めは、ヘッド容積385CCまでという企画案だと言われていたが、すぐに460CCに引き上げられたようだ。シャフトの47インチという長さについては、現実問題として問題になる用具が少ないので、あまり話題にならないようである。

 

 この話を聞いた時、ピンのアイ2のウェッジがラフからでも非常に止まるのは溝のせいだとして、溝に関する規則を変更したことから訴訟騒ぎになった事件(?)を思い出す人も多いであろう。

 

 結局、ピン・アイ2のウェッジに関しても、最近の研究でヘッドの重量がスピンの秘密であったらしいと言うことになっている。結果論であるが、溝を規制したって、意味はなかったのである。

 

 2004年のルール変更に向けての調整であり、今から大騒ぎするのもどうかと思うが、伝統を守るという目的もさることながら、容積を制限する基準の根拠が分からない。だからこそ、いきなり460CCなんていうどうでもいいような大きさがリミットになるというような話になっているのだろう。

 

 ゴルフの伝統を守るということは、伝統あるコースで、伝統的なスコアでプレーすることを維持させるという意味なのだろうか。

 

 過去には、ボールをほんの少し大きくすることで伝統の維持を図ったのであるが、結果としては、昔のスモールボールより、最新のテクノロジーを詰め込んだラージボールの方が飛ぶようになってしまった現実がある。

 

 用具は進化する。飛んで正確になっていくことは、避けることが出来ない。人間の浅はかな知恵で、進化そのものを止めたり、調整するのは、元々無理なことなのかもしれないとさえ思うのである。

 

 変に規制を掛けなくても、ゴルフの奥行きは深いと信じたい。現在ある規制に、コースの改造を加えていけば(単に距離を伸ばすというのではなく)ゴルフの面白みや楽しみを犯す心配はないと思うのである。

 

 伝統は立ち止まった時に、枯れてしまう。用具に関して、過剰な規制を掛けることは、伝統を守ることになるのかという疑問はぬぐえない。伝統は現在に引き継がれて、未来永劫続いてこそのものではないのであろうか。

 

 ゴルフの伝統は、少なくとも今現在は生き続けている。

(2002年1月25日)

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