【第12回】激突!
2017.04.19 |
12 激突!
こいつか?──こいつが本当のストーカーなのか?
あらためてじっくり観察すると、男は手には何も荷物を持っておらず、ただひたすらメガネのフレームを気にする動作を繰り返していた。
男が立ち位置を変えると、正義はゆっくりとチューブのなかから這い出していった。相手に見つからず、園児たちの注意も引かないように、慎重にすべり台の後ろに回り込んでいく。
正門や裏門まで回っていく余裕はないので、いっきに鉄柵を越えてしまうしかない。彼はムカデの体を固定しているストラップを外し、頭からマスクもとると、まるで脱皮するようにウレタン製の本体を脱ぎ捨てた。