(たまには口を)
たまには口を
Oのかたちに開けよう
溺れかけて救いをもとめる人のように
あるいはムンクの「叫び」
という絵に描かれたあの人物のように
あるいはほら
きみの隣で
欠伸をするために大きく口を
開けた女のように
なんというOだ
いま金と引き換えに抱かれたばかり
だというのに
何の屈託もなく開けられたO
いやそれ以上に
世界のあらゆる屈託を呑み込んでしまうような
ある意味ではそら恐ろしい
豊かな虚無ともいうべきO
ピンクの舌が名残りの官能のようにのぞいて
あとは闇
深い肉の闇であるO
たまには口を
そのOのかたちに開けよう
2014.4.11