(うどん論)
ほうとうからさぬきへ
さぬきからきしめん
きしめんから武蔵野へ
もうほとんどうどん中毒というべきか
ずるずるとうどんをすすりつづけているうちに
街ゆく娘たちのむっちり肉ぼってり肉
すべてうどんとして認識され
しかるのちわが脳の片隅に堆積してゆくかのような
おおうどん状無意識
メドゥーサの蛇だってメビウスの帯だって
われ発見せりみんなうどんではないか
それからまた私がすする久美子うどん彩香うどん
コシがあるのはどちらか
のど越しのいいのはどちらか
いや私は自分もうどんとしてすする
こうして自己も他者も
いや世界全体がうどんとなり
腸のようなうどんとなり
うどんのような腸となり
そして最後は肛門だ恋人よ
とうとう僕はあなたのうんこになりました
絶筆だって女の黒い皺を書いて締めくくり
みごとなウロボロスの蛇だ
ウロボロスのうどんだ
2014.2.28