なまこサバイバル(7)


(うどん論)

 

ほうとうからさぬきへ

さぬきからきしめん

きしめんから武蔵野へ

もうほとんどうどん中毒というべきか

ずるずるとうどんをすすりつづけているうちに

街ゆく娘たちのむっちり肉ぼってり肉

すべてうどんとして認識され

しかるのちわが脳の片隅に堆積してゆくかのような

おおうどん状無意識

メドゥーサの蛇だってメビウスの帯だって

われ発見せりみんなうどんではないか

それからまた私がすする久美子うどん彩香うどん

コシがあるのはどちらか

のど越しのいいのはどちらか

いや私は自分もうどんとしてすする

こうして自己も他者も

いや世界全体がうどんとなり

腸のようなうどんとなり

うどんのような腸となり

そして最後は肛門だ恋人よ

とうとう僕はあなたのうんこになりました

絶筆だって女の黒い皺を書いて締めくくり

みごとなウロボロスの蛇だ

ウロボロスのうどんだ

 

2014.2.28

 

カテゴリ: シーズン1, 野村喜和夫
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