なまこサバイバル(1)


(魂は飛ばない)

 

魂は飛ばない

飛んで永生を得たり

人を仰ぎ見させたりはしない

むしろもぐる

魂はもぐる

皮膚すれすれに

あるいはそのいちまい下へ

それが日本人であろうと中国人であろうと

魂はもぐる

あるいは泳ぐ

そう

魂は泳ぐ

 

魂は泳ぐ

鱶のように水母のようにぼうふらのように

水という水が好き

その波紋という波紋が好き

それに乗って

どこにでも行ってしまう

波紋を痛みに変え

痛みを波紋に変え

魂は泳ぐ

 

皮膚のような水

それが魂

水のような魂

それが皮膚

魂のような皮膚

それが水

あるいは魂

 

魂は飛ばない

飛んで俯瞰したり

おしゃべりしたりしない

そよぐ毛がとりわけ好き

もちろん孤独だ

それゆえに求める

もうひとつの孤独を

言葉を介して言葉を超えて

それが中国語であろうと日本語であろうと

そうしてざわめく

魂はざわめく

もうどんな顔もみえず

糞が流れ精子が流れ

魂はざわめく

 

2014.1.17

 

カテゴリ: シーズン1, 野村喜和夫
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