(終局直後の両対局者。インタビューを受ける)
【矢内理絵子女流四段】
「飛車がさばけて△6四角(78手目)と出ることができたので、まずまずの中盤戦だと思いました。ただ、もうちょっとうまく指せそうだったので、終盤の入口あたりでは流れがおかしくなったかなと思いました。
(勝ちを意識した局面は、と尋ねられ)いや、まだ続くのかなと思っていたので、まだまだ大変だなと......。うーん、なので、具体的に勝ちを意識した局面はなかったですね。
(本局の結果と次局の抱負を問われ)ひとまず第一目標クリアという感じ。次からは、また新たな気持ちで力いっぱいがんばりたい」
【熊倉紫野女流初段】
「最初駒損したので、ちょっと無理だったのかな、と......。雰囲気としてはやれそうなところもあったと思いますが、実際は駒損なのでずっと苦しかったと思います。角銀交換の前あたりで、もう少し工夫できたのではないかと思います」
(文)
図は16時頃の局面。パタパタと駒の入れ替わりがあり、矢内女流四段が△6九飛と金の両取りに打ち下ろしたところだ。熊倉女流初段は▲3八銀と受け、以下△3二銀▲7二飛と進んだ。
控室を訪れた勝又六段、「△3二銀がいい手か。▲7二飛には△6二金と打って。▲7一飛成△6六飛成は金得。この金得はさすがに大きいですよねえ」と局面を見る。そして控室を去った。
ところが実戦は△4一銀▲7三飛成△4二金▲1四歩△同歩▲1三歩と進行。矢内女流四段は駒損かつ後手を引く順を選んだ。△6二金には何か不安な手があったのだろうか? ただ後手には△2四桂という切り札があり、若干だが後手指しやすいと見られている。先手はギリギリで均衡を保っている印象だ。
熊倉女流初段はここがチャンスとばかり端攻めを敢行。▲1三歩で持ち時間を使い切り、一分将棋になった。
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