――おめでとうございます。防衛を決めた感想を教えてください。
西山 退会してから初めてのタイトル戦で、いままでと違う環境でした。今回の勝ち負けは大きく、今後を決めるような結果になると思っていたので、よい結果を残せてうれしく思っています。
――五番勝負全体を振り返ってください。
西山 伊藤さんとのシリーズは、力戦調になった将棋は力負けしてしまっていた感じで、もしかしたら今回は厳しいかなと思ったところがありました。第5局は自分の土俵とまではいかないですが、よくやっている将棋になったので、悪い雰囲気だったのを断ち切って勝ちきることができました。
――4連覇となりました。来期、防衛すれば永世女王です。
西山 4連覇もそうですけど、今回に防衛できたら(タイトル獲得の合計が)8期だなと意識していました。何とか加藤(桃子女流三段)さんと並ぶことができてうれしく思います。来期は永世女王が懸かっており、いい響きのタイトルなので頑張って目指したいと思います。
――昨年からフルセットが続き、4回連続です。
西山 タイトル戦は、体感的に防衛側のほうがきつい気がします。あと一番を逃してフルセットになっているところはありますが、今後の自信につながるかなと思っています。今回は力戦調で伊藤さんに完敗してしまった将棋があるので、そこは課題かなと思いました。
――環境が変わったとおっしゃっていました。具体的に教えてください。
西山 2週間に1回ペースで奨励会があったので、寝ても覚めても奨励会を考える環境じゃなくなりました。いろいろなお仕事のご依頼をいただき、奨励会員のときとは違いますね。
――奨励会員として女流棋戦に出場するのと、女流棋士として参加するのは、気持ちの面でどう違いますか。
西山 奨励会と女流棋戦に参加させていただいたときは、奨励会が振るわないときは女流棋戦、女流棋戦が振るわないときは奨励会を頑張ろうと切り替えていました。いまは一本になったので、そういう考えはなくなったかなと思います。
――今回の五番勝負はどういう気持ちで臨みましたか。
西山 奨励会員として出させていただいたときよりも、プレッシャーが大きかったかなと思います。理由は……女流棋士として最高の肩書だと思いますので。
――女流棋界は西山女王と里見香奈女流四冠と二強といわれます。どう戦っていきますか。
西山 同列に扱っていただくのもおこがましいという思いが強いです。これからたくさん指すことになると思うんですけど、毎局毎局、成長をお見せできたらいいなと思っています。
――女流棋士としての目標を教えてください。
西山 そうですね……。とにかく、タイトル戦にずっと出られていたらいいなと思います。
――五番勝負の第1局直後といまとでは、心境の違いはありますか。
西山 そうですね。本当に変わったと思います。普段の心持ちや生活サイクルが奨励会時代と違って、いい方向に変わりました。奨励会時代と比べると、いまのほうが自分のためだとかファンの方のためだと考えられているような気がします。
――今期は防衛戦2つに加えて、新棋戦や新たに参加する棋戦があります。どういうふうに臨みますか。
西山 欲をいえば、出させていただける棋戦は、全部上のほうでタイトルに絡みたいなと思います。
(最後は花束を手に記念撮影)
(睡蓮)
(4連覇を果たした西山女王)
(伊藤女流三段。タイトル奪取には、あと一歩届かなかった)
(順に主催者インタビューに応じる)
◆西山女王の談話
――三間飛車石田流対居飛車穴熊の戦いになりました。序盤はいかがでしたか。
西山 作戦勝ちから始まったと思ったんですけど、攻めをいなされてしまって。昼食休憩辺りはちょっと自信がなかったんですけど、何とか勝負手が通っている形になったかなと思いました。
――勝負手というのは▲6五桂(71手目)でしょうか。
西山 そうですね。
――優勢を意識された局面はどの辺りでしょうか。
西山 ▲5三桂成(73手目)△同金▲4一とのところで、守りの要の駒が1枚取れそうだったので、よくなったかなと思いました。
――これで防衛となりました。いまのお気持ちをお願いします。
西山 (奨励会退会で)環境が変わってすぐの大勝負だったんですけど、何とか結果を出すことができて、いいスタートが切れたかなと思います。
――第1局を落としたあと2連勝、そこで第4局に敗れて最終局となったわけですが、シリーズの流れはどう見られていましたか。
西山 第3局で勝てたことが大きくて、気楽にやれた部分はあったかなと思います。カド番が続く状況になると、精神的にきつかったと思うので。
――今回の防衛で4連覇です。来期は連続5期の永世女王の称号が懸かります。
西山 本当に毎回ぎりぎりの戦いで、あっという間だったんですけど、何とかよい結果を重ねられて4連覇という形になって、うれしく思います。来期はこれまでとは違うものが懸かってくるということで、少し意識して臨みたいと思います。
◆伊藤女流三段の談話
――相手に仕掛けられて、▲6二歩(47手目)と垂らされた局面はどう見られていましたか。
伊藤 勉強不足で、攻めの糸口を作られてしまった感じで。あの辺りは、指しにくくしているかなと思っていました。
――いまの時点で、ここがまずかったかなという局面は何かありますか。
伊藤 ▲6二歩以降ということですか。ずっと神経を使う展開で、難しいくらいの形勢ではあってほしいと思いながらやっていたんですけど、ちょっと攻めがつながってしまったという感じですかね。
――今シリーズを振り返って、いかがですか。
伊藤 西山さんとの番勝負が初めてで、マイナビ女子オープンも初挑戦でした。対局場など、初めてのことばかりで、楽しみながら臨めたと思います。5局戦えてよかったです。
(睡蓮)