将棋情報局

【解答編1】驚愕の連続 現代詰将棋短編名作選1976-2015

「現代詰将棋短編名作選1976-2015」から、前回の記事では3手詰と5手詰の問題を1問ずつご紹介しました。
3手詰の解答編をお届けします!(ほんとは5手詰も一緒にやるつもりだったんですが、3手詰だけでまさかのボリュームになったので解答編を2回に分けることにしました)

市橋豊氏作 3手詰 

(初出:「近代将棋」昭和58年8月号)

まだ解いていない方は、正解を見る前に1分でいいので考えてみてくださいね。
それでは行きます、解答編。




ごちゃごちゃした初形で考えづらいですがわずか3手詰。
気力を振り絞って考えてみると、よく見れば有力な初手は多くありません。
▲8三銀不成は△同龍でダメ。王様を動かしての開き王手は、龍の利きを活かして6七に合駒されて詰みません。6三の龍が縦横によく働いていますね。

そこで龍の利きをどちらかに制限するために焦点の捨て駒▲6四飛!(途中1図)

【途中1図は▲6四飛まで】

詰将棋らしい派手な手筋です。この手はすぐに見えた方も多いのではないでしょうか?
△6四同龍は▲8三銀不成まで駒余り。よって△6四同角成と取ります。これで6筋に玉が動けるようになったので▲6六玉(参考1図)まで3手詰!ドヤァ

【参考1図は▲6六玉まで】

と思った人、それは私です。まんまと作者の1つ目の罠に引っかかりました。

確かにこれで詰んでいるのですが、よく見たら3手目は▲6六玉じゃなくて▲7七玉(参考2図)と歩を取っても詰んでいますね。これでは駒余り。つまり玉方の応手が最善じゃないのです。

【参考2図は▲7七玉まで】

では最善の応手は何なのか?△6四同龍も△6四同角成もダメだとすると合駒しかありません。

じゃ△8四桂の逆王手はどうでしょう?双玉詰将棋ならではの切り返しです。しかしこの手もやはり▲7七玉(参考3図)と歩を取って逃げられてみると、△7六歩は▲同馬で無駄合いなのでやはり駒余りの詰みとなってしまいます。2手目△8四金などの合駒もやはり同様に▲7七玉で駒余りです。

【参考3図は▲7七玉まで】


▲7七玉と逃げさせてはダメなんですね。わかりました。△7四香!(参考4図)

【参考4図は△7四香まで】

これなら▲7七玉と逃げられませんので、▲6六玉(参考5図)と逃げて3手詰!

【参考5図は▲6六玉まで】

こう思った方、作者の2つ目の罠に引っかかりました。
よーく盤面を見てください。香車が5本あるじゃないですか!
つまり、2手目の△7四香は香車が品切れのため、打てないんですね。

取る手もダメ、合駒もダメ。いよいよ後手も万策尽きたように見えます。▲7七玉を防ぐためにはもうヤケクソに△7四龍(途中2図)と捨てる手ぐらいしかありません。

【途中2図は△7四龍まで】

これに対して▲6六玉(正解図)の逆王手で3手詰。7六や8五に合駒しても▲同馬で無効なので、確かにこれで詰みですね(相当ややこしいですが)。

【正解図は▲6六玉まで】

そう、これが正解です。

いやいや待ってください。2手目△7四龍の捨て駒に▲同飛(参考6図)と取って詰めば無駄合いの余詰じゃないですか。いくらなんでも詰みそうじゃないですか。

【参考6図は▲7四同飛まで】



確かめてみましょう。▲7四同飛に△8四桂と逆王手。▲7七玉(参考7図)と逃げれば先ほどと同じように詰みかと思いきや…

【参考7図は▲7七玉まで】


今度は、先ほどまで龍の裏側に隠れていた玉方6一香の利きが通っています。△6七金!(参考8図)とここで合駒できるので詰まないんですね!

【参考8図は△6七金まで】

と、ここまで読めれば2手目△7四龍が決してやけっぱちの無駄合いではなくて、狙いを秘めた妙防だと言うことがお分かりいただけたかと思います。

ということで、改めて正解を記すと、
▲6四飛△7四龍▲6六玉まで、3手詰
となります。

わずか3手の正解の中に、これだけの水面下の変化が隠れている。詰将棋ってなんと精緻な芸術品なんだろうと思わざるを得ません。

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