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新刊「三浦&阿部健の居飛車研究」と「久保&菅井の振り飛車研究」を読み比べてみた

2015.09.17 | 島田修二

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皆さんこんにちは。
イカの塩辛が好きな編集部の島田です。

今日は10月14日発売の「三浦&阿部健の居飛車研究」を紹介したいと思います。



なにをかくそう、本書は三浦弘行九段と阿部健治郎六段の共著です(見れば分かる)。

まさに居飛車の研究家って感じの二人で、かつ仲の良い兄弟弟子としても有名ですね。

同じシリーズの「久保&菅井の振り飛車研究」は和気あいあいな感じでしたが、本書はまさに共同研究っていうガチな雰囲気が漂っています。それはそれで読んでいてとても面白いです。

今日は25テーマあるうちの2番目のテーマ局面「ゴキゲン中飛車対超速▲3七銀」を少し紹介します。



この図を見て「あ、菅井新手だ」と思った方はかなりの将棋通です。詳しすぎて怖いです。
超速▲3七銀から左の銀も出て行く、畠山成先生が命名したかの有名な「クロスファイア」の変化ですね。

さらに、この図を見て「あ、『久保&菅井の振り飛車研究』のテーマ1だ」と思った方は神レベルの通。そうなんです、この局面は「久保&菅井の振り飛車研究」のテーマ1であり、「三浦&阿部健の居飛車研究」のテーマ2なんです。

『久保&菅井の振り飛車研究』ではこの局面、久保先生は互角以上に戦える、菅井先生は居飛車持ち、ということで意見が分かれています。ちなみに久保先生は三浦先生との対局も例に出してます。

菅井先生の場合、このテーマのまとめのところで「居飛車持ちだけど指すなら振り飛車」という名言を残しているのが面白いです。つまり居飛車の玉が薄いので勝ちにくいと。「なんで超速がはやるのか、その理由が分からない。みんなが超速をやってくれるのなら、自分は毎回ゴキゲン中飛車をやってもいい」と言ってます。まさに菅井節、かっこいいです。

前置きが長くなりました。

今回の本で三浦先生と阿部先生がこの局面に対してどう言っているかみてみましょう。

三浦先生は久保先生との対局の例をあげて「対久保戦の進行は簡単ではないと感じました」と言ってます。ふむふむ。
この辺は久保先生と三浦先生の意見が合っていますね。

ただ、そのあとこう続きます。


なので、テーマ2図で▲2八飛△2五歩▲同飛△2三歩▲3五歩(下図)も考えたいですね。阿部君が指していて模様は良さそうでした。



と、続きます。そして阿部先生もその手順で居飛車が良くなると解説しています。

このあと、具体的な手順が続くんですが、それは書籍をご覧ください。

と、いうわけで、この阿部先生の指し方が優秀でテーマ2図は「ミスしない前提なら居飛車がいい」ということになってます。

ほほぉー。なるほど~。


「ミスしない前提なら」っていうところがミソで、この辺りは菅井先生の感覚に通じるものがありますね。

それぞれの意見が微妙に食い違いながらも、高いレベルで共感しているようで読んでいて面白いです。


「三浦&阿部健の居飛車研究」では、こんな感じのテーマ局面が他にも24個あります。

自分が普段指す形などは面白い上に勉強になるので、かなりのオススメ書籍です。

10月14日発売です。

全国の居飛車党のみなさん、どうぞお見逃しなく。