レクチャー となりのアプリ

流郷綾乃

アフリカインキュベーターCTO・杉山佳範のiPhone Apps

遠いアフリカに向けて

今回のゲストは、株式会社アフリカインキュベーターのCTO・杉山佳範さんです。杉山さんの会社では、アフリカの営業マン向けに営業支援アプリ「SENRI」を作っています。いわゆる、セールスフォースのアフリカ版といったところでしょうか。スマホだけで受発注や営業報告などが打ち込めるようになっており、インフラの不十分なアフリカでもサクサク動くように工夫して作っているそうです。

なぜ日本や中国といったアジア地域をすっ飛ばしてアフリカなのかと思いましたが、「SENRI」は主に消費財の営業向けに作っているので、これから人口も飛躍的に伸びるアフリカに注目したのだそう。たとえば、ナイジェリアの現在の人口は１億８千万人と多いのですが、まだまだ増加傾向にあります。国連によると、2050年までに4億人になりアメリカを抜くといわれています。

アフリカだとアンドロイドのほうがシェアが高いので、「SENRI」はアンドロイドベースで開発されています。さまざまなアンドロイドスマホに対応しているそうなのですが、中にはGPS精度が悪いチップの入ったモデルも存在するので、それは推奨機種から外しているそうです。

アフリカインキュベーターは、日本だけではなく、ウガンダやケニア、ナイジェリアにも法人を持っていて、各地に日本人のマネージャーが在住しています。ただし、アプリ開発は日本（大阪、静岡、東京）で行っているそう。日本で開発して、アフリカで使われる…スマホ社会においては、空間とかを越えてビジネスが成り立っていることを実感します。

「SENRI」は、マネージャが受発注を管理するのに便利なだけではなく、良い営業効果も出るそうです。たとえば、アフリカの営業マンは売るだけではなく店頭の陳列を手伝うようなのですが、今までこの仕事は数字では確認できませんでした。しかし「SENRI」を使って店頭にトイレットペーパーを並べた前後に写真を撮ってレポートすることで、その成果は一目瞭然。また、GPSの移動履歴も追えるので、営業報告どおりに仕事をしていることも示せるのです。もちろん「携帯の電源が切れた」などでズルすることもできますが、ちゃんと頑張った人を頑張ったと評価できる仕組みがあることで、頑張りにつながり営業成績が上がるのだそうです。

3つの言葉で位置確認

さて、そんな杉山さんが愛用しているアプリは、さすがスマホを中心にお仕事をされているだけあって、便利なものばかりがインストールされていました。

まずは、GPSの位置情報を３文字の言葉で表現する「ワット3ワーズ（what3words）」というアプリです。エンジニア萌えしそうなアイデアがユニークですし、このほうが細かい住所を覚えるより簡単そう。ちなみに、Mac Fan編集部のあるマイナビ出版のアドレスは「「めばえ・ほうこく・へいてん」でした。「めばえ」は小学館が発行していますが（苦笑）。

さらに、エンジニアっぽいアプリがもう1つ。iPhoneを持ってMacから離れるとMacの画面をロックしてくれる、ノマドワーカーに超便利な「ニアロック（Near Lock）」です。最近はアップルウォッチ版もリリースされたので、より便利に使えそうです。

また、「SENRI」アプリだけではなく、ご自宅で料理も作る杉山さん。夕食を作るときに「タベリー」を活用しているそうです。「あなたにピッタリの献立が10秒でつくれる」というキャッチコピーのアプリですが、画像からポチポチ選ぶだけで献立を作ることができるのは楽ちんです。文字を打たずに献立が決まり、買い物リストも自動生成してくれます。

ほかにも、家族間のSNSのようなアプリ「みてね」を使って、娘さんの写真などをおじいちゃん、おばあちゃんと共有しています。動画を20本以上アップするとダイジェスト版のムービーを自動的に作ってくれるのもいいですね。杉山さんから娘さんの動画を見せてもらったんですが、これが泣ける出来栄えでした…。全国のパパ＆ママはぜひ使ってみてください。