2017.05.07
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グラフィックス技術を独自開発していると長年噂されていたアップル。これまでAプロセッサのGPUコアに採用していた英・イマジネーション・テクノロジーズ(Imagination Technologies)に、同社のIP利用を終了させる計画を通告した。アップルはなぜチップの独自デザインに進むのだろうか。
2年以内の移行を計画
iPhoneやiPadのAプロセッサのようなモバイル向けSoC(システムオンチップ)には、中央処理装置であるCPUコアとグラフィックス処理装置のGPUコアが1つのチップにまとめられている。Aプロセッサのグラフィックス処理能力を長年にわたって支えてきたのが、英・イマジネーション・テクノロジーズ(Imagination Technologies)社のGPUコア「パワーVR」である。モバイルにおけるGPUの重要性を認識していたアップルは、買収も視野に長年にわたってイマジネーションに投資してきた。イマジネーションにとってもアップルは、売上の半分近くを占める最大の顧客でもある。そんな密接な関係に終止符が打たれた。イマジネーションの発表によると、同社のIP(知的財産)の使用を終了させるという旨の通達があった。アップルは独自のGPUデザインに取り組んでおり、今後15カ月~2年の間に登場する製品から移行する計画だ。
アップルのチップ設計能力が高まっているとはいえ、まったく新しいGPUアーキテクチャを構築して世に送り出すのは難しい。モバイル向けのレンダリングに使われる技術の特許を、イマジネーションやアーム(英・ARM社)などが押さえているためだ。イマジネーションは現在のライセンスに代わる新たな特許使用契約に応じる考えを示す一方で、同社の知的財産を侵害するような行為には法的手段に訴える可能性を示唆している。