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eYACHOとGEMBA Noteが「ゲンバ」のノートを変える!

文●栗原亮

アップル製品を手厚くサポートするメーカーの新製品を徹底取材。今回はMetaMoJiの「eYACHO/GEMBA Note」に迫ります。

紙の手帳を上回る価値を

さまざまな業種・業態でiPadの利活用が進んでいるが、本当に「現場」のニーズに応えられているのだろうか。タブレットならではの柔軟な使いやすさや、わかりやすさを活かしたアプリとはどんなものなのだろうか。そうした本質を突き詰めながらアプリ開発を行うのが、浮川和宣社長率いる株式会社メタモジ(MetaMoJi)だ。同社は独自の手書き認識&文字変換技術を用いた「ノートエニータイム(Note Anytime)」や「メタモジノート(MetaMoJi Note)」などの画期的なアプリを世に送り出してきた。

 

80点主義のアプリでは現場に通用しません

株式会社MetaMoJi
代表取締役社長
浮川和宣さん

 

 

また、2015年には、建設大手の株式会社大林組と協業で建設現場向けのデジタル野帳「イーヤチョウ(eYACHO)」を発表。「野帳」とはフィールドノートとも呼ばれる縦長の小型手帳のことで、主に土木や測量、建設現場などで技術者がさまざまな情報をメモするために広く用いられるものだ。

大林組でデジタルデバイス導入の責任者を務める堀内英行さんは、メタモジとの協業に至る当時の状況をこう振り返る。

「当時(大林組では)すでに3000台のiPadを導入しており、建設現場に特化した品質管理や配筋検査、立合検査、仕上検査等のアプリを利用して業務効率の改善を図っていました。定型業務用のアプリは揃っていたため、次に目をつけたのが、準定型や非定型の業務だったのです。現場ではメモを野帳に書き留めている人も多く、メモアプリを利用している人はわずかでした。しかし、約400名を対象に野帳を電子化したアプリを使いたいかというアンケートを実施したところ、 4分の3から使いたいという声が挙がりました。そこでメタモジさんにお声掛けしたところ、一緒にイーヤチョウを開発をしようということになったのです」

浮川和宣さんは、野帳をデジタル化するにあたり、「紙の簡便さに勝る」にはどうすればよいかを試行錯誤したという。

 

 

eYACHO(建設業界向け)/GEMBA Note

【開発】MetaMoJi
【価格】法人向けチームクラウド版基本5ライセンス10万円/年、追加1ライセンス2万円/年(フリー版・評価版などもあり 詳しくはMetaMoJi社のWEBで)
【URL】http://product.metamoji.com/gemba/eyacho/

 

COMPANY

株式会社MetaMoJiは、2009年12月に創業されたソフトウェア開発企業。ジャストシステムの創業者で一太郎の開発者として知られる浮川和宣・初子夫妻が代表取締役を務める。iPhoneやiPadの可能性に早くから着目し、独自の手書き文字認識エンジンを用いた入力ソフト「mazec」や高機能ノートアプリ「GEMBA Note」などの開発で知られる。
【PRODUCT SPEC】対応OS:iOS 8以降、ウィンドウズ10 (2017年5月発売予定)
推奨環境:iPad (エア以降)、iPadミニ(第3世代以降)、 iPhone(6/6プラス以降)

 

現場の「まったなし」に応える

手書き・録音・テキスト入力・写真など、あらゆるインプット方法を用いて、その場で何でもメモできるのがGEMBA Note/eYACHOの特長。紙の野帳と同等以上の操作性で、現場で求められるスピードに追随できる。

 

 

「バッテリであるとかiPad自体の重さであるとか、デジタルのハードウェアに付随するマイナス面を上回るプラスを提供しなければ、現場の忙しい人たちには納得していただけないと思っていました」

そこで、すでに定評のあるノートエニータイムやメタモジノートをベースに開発を開始、建設現場の生の声を反映して改良を重ねた。

「建設現場では多くの職種の業者が出入りし、作業の順番も決まっていることがあります。たとえば、現場監督はどの会社のトラックが何時に何台入ってくるかといった情報を把握しておくことが大事ですし、このToDoを忘れてしまっては作業全体に支障が生じます。そこで、我々は単なる手書き文字のメモでは不十分と考え、メモの部分を丸く囲むだけで項目をToDoとして扱える機能などを追加しています」

ほかにも、日付連動のノートから月・週・日表示のカレンダーを呼び出したり、現場の写真や図面のPDFを貼り込んだり、打ち合わせの音声を録音したり、簡易的な表計算をフォームとして作成できたりする機能などを搭載。メモや表、写真、図面といった現場のさまざまな情報を作成・集約・完結できるアプリへと結実させた。また、イーヤチョウは現場ごとの作業内容に合わせて機能を呼び出せる「ツールボックス」機能を搭載するなど、多機能であってもシンプルな使い勝手を実現している。これにより、現場によってフォーマットが異なる帳票や作業指示などをiPadでこなせるようになり、デスクワークの負荷を大きく軽減した。

「業務そのものが減るというわけではありませんが、さまざまなことがイーヤチョウで集約して行えるため、業務時間の短縮による生産性の向上につながりました。現場からの反応も良く、“業務の隙間を埋める”ツールとして効果があると思います。また、イーヤチョウは現場以外でも活用できる便利機能を数多く備えているので、現場を支援する内勤業務でも、紙のノート代わりに役立っています」(堀内さん)

 

個人とチームのワークスタイルを変革する切り札です

株式会社大林組 グローバルICT推進室
副部長 兼技術課長
堀内英行さん

 

 

現場のための究極のノート

さらにメタモジではイーヤチョウで培った現場ノウハウを活かして、「ゲンバノート(GEMBA Note)」をリリース。イーヤチョウ同様の多彩な機能を搭載し、さまざまな現場ニーズを満たすカスタマイズ性に富んだ高機能ノートアプリだ。その最新版(およびイーヤチョウ)では「シェア」機能も搭載している。これは、たとえば図面に書き込んだメモや取り込んだ写真がクラウドを経由して瞬時に別のiPadなどの端末にも反映され、情報共有が行えるものだ。

「ノートを複数人で同時に編集することもできますし、場所が離れていてもリアルタイムに情報共有することでディスカッションもできます。これまで個人の便利さを追求するために発展してきたゲンバノート/イーヤチョウですが、これにチームワークという要素が新たに加わったのです」(浮川さん)

建設現場のニーズに応える形で生まれ、「現場目線」で進化を重ねるゲンバノートは、医療や教育、製造といったあらゆる現場で「したい作業を完結できるデジタルノート」として重宝されるだろう。

 

さまざまなフォームを作成可能

現場のニーズに合った帳票をその場で作成し、すぐ運用することもOK。表計算機能なども標準で備え、現場の急な業務プロセス変更もサポートできる。

 

IT初心者にも使いやすい

多機能を追求すると使い勝手が下がりがちだが、IT初心者でもタップ操作だけで確実に使いこなせるよう、業務ごとに必要な機能をまとめて登録できる「ツールボックス」機能などがある。

 

シェア機能を新搭載

GEMBA Note/eYACHOの最新版では、新たにシェア機能を追加し、リアルタイムのグループワーキングが可能となった。図面や設計図などを複数人で同時に書き込めるので、迅速にチーム内の情報共有と意思疎通が実現できる。

 

建設以外ならGEMBANoteがおすすめです

株式会社MetaMoJi
事業企画部
今西信幸さん