Parallels Remote Application Serverの必要性|MacFan

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Parallels Remote Application Serverの必要性

文●栗原亮

アップル製品を手厚くサポートするメーカーの新製品を徹底取材。今回はパラレルスの「Parallels Remote Application Server」に迫ります。

急がれるインターネット分離

「パラレルス・デスクトップ(Para llels Desktop for Mac)」は、Macでウィンドウズを動作させるための仮想化ソフトの定番だ。現在、ライセンスベースでは600万以上、世界で5万社以上の企業や政府関連機関にも採用され、デスクトップ仮想化市場で10年連続シェアナンバーワンの実績を誇る。

パラレルス株式会社で代表取締役を務める下村慶一さんに話を聞くと、パラレルス・デスクトップ(個人/ビジネス版)が同社の主力製品であることには変わりはないが、この数年でエンタープライズ向けのクライアント仮想化ソリューションのニーズが高まっているという。

「弊社は、さまざまなデバイスや OS上で必要なアプリケーションやファイルを簡単に使用・アクセスできるようにする『クロスプラットフォーム ソリューション』の世界的なリーダーです。近年のエンタープライズ市場におけるクライアント仮想マーケットの高まりを受けて提供しているのが、『パラレルス・リモート・アプリケーションサーバ(以下、パラレルスRAS)』です。これは、ウィンドウズベースの企業内ネットワークでMacやiOSデバイスといったさまざまな端末に依存せず、仮想的にアプリケーションやデスクトップ環境をクライアント端末に配信できるものです。

 

 

Parallels Remote Application Server

【発売】パラレルス株式会社
【価格】同時接続時1ユーザあたり年間1万2000円(税抜)
【URL】https://www.parallels.com/jp/​

 

仮想アプリケーションとデスクトップをiPhoneやiPad、アンドロイド、Mac、ウィンドウズ等の端末に配信する企業向けクライアント仮想化ソリューション。OSやハードウェアの違いを気にすることなく、特定のアプリに好きな場所からアクセスできるため、企業のワークスタイル変革やセキュアな業務端末管理に効果を発揮する。

 

COMPANY

パラレルス株式会社は2000年に米国ワシントン州で設立されたParallels, Inc.の日本法人。クロスプラットフォーム ソリューション提供のリーディングカンパニーとして知られる。主力製品「Parallels Desktop for Mac」に加え、最近は企業向けクライアント仮想化ソリューションの「Parallels Remote Application Server」がビジネスや学校などの現場で採用されつつある。

 

 

近年、ワークスタイル変革やIT資産有効活用、モバイル対応、セキュリティ強化などが企業の経営課題として取り上げられます。パラレルスRASはこうした問題をコスト面でも解決するもので、製造業や小売業、行政、教育、医療、メディアなど業種を問わず広がりを見せています。中でも、導入の背景には“インターネット分離”のニーズが高まっていることも大きく影響しています」

「インターネット分離」は、企業において情報セキュリティの強化を行ううえで重要なキーワードだ。近年、業種を問わず大企業や公共機関からの大規模な個人情報漏洩事案が頻発しているが、これはマルウェア(ウイルス)対策や運用の不備があったからと片づけられる問題ではない。むしろ、その多くはマルウェア対策ソフトを導入していたのに、事後までまったく情報漏洩の被害に気がつくことはなかった。というのも、サイバー攻撃は多様化、巧妙化しており、業務でインターネットに接続する以上はWEBサイト経由で脆弱性を突くような標的型の攻撃からはマルウェア対策だけでは防げないからだ。

そして1台でもマルウェアに感染してしまえば、従来の情報系システムではほかのクライアント端末にも蔓延してしまう。だからといって、これを避けるためにインターネット接続端末と情報系システムを単純に分離してしまうと、相互に情報転送やデータの保存ができなくなり利便性が極端に低下する。

このジレンマを解消するために登場したのがインターネット接続が必要なアプリケーションの画面だけをクライアント端末に転送し、データ保存を禁止するインターネット分離の考え方であり、パラレルスRASによってそれが実現できる。

「具体的にはアプリ配信サーバ(RDS)のみがファイアウォールを介してインターネットと接続しており、社内のネットワーク接続端末にはRDSから画面のイメージだけを配信しています。クライアント側にデータが残らないというセキュリティ面のメリットに加え、端末に専用アプリをインストールしなくてもよいのでMacやiPadなど好きなデバイスを選べます」

また、ウィンドウズサーバ上で構築された既存の資産を活かしつつ、配信する情報が管理しやすくセキュリティが確保されたことで、働く場所を問わないワークスタイル変革を加速する効果も期待できるという。

「そもそもインターネット分離ができていなければBYODやリモート勤務だって成立しません。これまで社内システムの更新には多大なコストが必要でしたが、仮想化環境であればVB6で作られたアプリだってMac上で操作できるのでコスト削減につながります。また、障害発生時の復旧も短時間で済みますし、災害時の事業継続性にも優れています。いまや仮想化技術を利用したインターネット分離は、社内インフラの問題にとどまらず社会インフラとして必要なものになりつつあるのです」

 

ネットワーク分離

企業のセキュリティ強化の一環として欠かせないキーワードであるインターネット分離。通常のマルウェア対策では防げない標的型攻撃が増え、情報系システムをインターネットから分離させる動きが加速している。その際に画面イメージのみを転送する仮想化技術を用いれば、インターネットの利便性を保ちつつセキュリティが確保できる。

 

 

「MacでWin」を超えて

他社製のVDI(デスクトップ仮想化基盤)と比べたときの価格面での優位性のほかに、下村さんはパラレルスRASの「使いやすさ」も特徴に挙げる。

「従業員が簡単に利用できるかも重要な点です。パラレルスRASではアプリの追加や削除もドラッグ&ドロップでできますし、使い勝手がよいので工数の削減にもつながります」

パラレルスRASでは、コンシューマー市場で培ったノウハウがしっかりと活きているのだ。

なお、パラレルス・デスクトップも着実なアップデートを重ねており、直近では「ツールボックス(Parallels Toolbox)」に注目してほしい、と下村さん。

「ツールボックスは、仮想環境を使ううえで便利な20種類以上の機能をまとめたもので、メニューバーからすぐに利用できます。たとえばビジネスシーンでは、お客様に見せる動画が手元になくてもすぐに社内リソースから取得して見せたり、不具合の画面を録画してデベロッパーやセールスと共有したりといったことが可能です」

ネットワークの強靱化をインターネット分離で実現し、優れたUI/UXを持つMacやiOSデバイスでセキュアに利用するというパラレルス製品群は、ウィンドウズかMacかという二元論を超えた新たな次元を社会に提供しているのだ。

 

RASアーキテクチャ

 

パラレルスRASは、ウィンドウズサーバで構築された業務用システム内で、VDI(デスクトップ仮想化基盤)を利用してMacやiPhone、iPadなどにアプリケーションを配信できる。

 

Macでウィンドウズソフトを動かす

Macでウィンドウズソフトを利用するための代表格な存在である「パラレルス・デスクトップ12 for Mac」は、個人やスモールビジネスに最適な通常版のほか、開発者やパワーユーザ向けのプロエディション、業務用途に最適化されたビジネスエディションがある(写真はApple Store専用通常版)。

 

Macを快適にするツール群を提供

スクリーンショットの作成やデスクトップの整頓、フェイスブックやユーチューブのビデオをダウンロードできる機能などをメニューバーから行えるユーティリティが「パラレルス・ツールボックス」だ(単独で1000円でも販売されている)。

 

パラレルスRASは経営課題を低コストで解決します!

代表取締役
下村慶一さん