2016.05.01
ITライターとして活躍する三橋ゆか里氏の最新テックトレンドウォッチ!
企業の評価額は、その事業の有望性を見定めるうえで重要な指標の1つです。評価額10億ドル超の非上場企業を「ユニコーン」といいますが、サービス開始からわずか2年で、その倍に当たる20億ドルの評価額に到達したのが、サンフランシスコ発の「スラック(Slack)」です。提供する同名サービスのデイリーアクティブユーザ数は200万人を突破。最近も評価額38億ドルで2億ドルを新たに調達しました。
スラックは、ビジネス向けのグループチャットツール。短いコメントをリアルタイムでやりとりでき、複数の「チャネル」を作ることで、プロジェクトやテーマごとに必要なメンバーを結集できる仕組みです。スラックが爆発的な人気を博す理由としては、未読件数に追われるEメール疲れ、直感的に使えるインターフェイス、ビジネス現場でのモバイルデバイスの普及などが挙げられます。
雑誌『MIT Technology Review』には、スラックが「water cooler effect」を発揮するとあります。まるで給湯室で周囲の会話を小耳に挟むような感覚で利用できるため、社員の生産性が高まる、と。確かに、Eメールなどにはない「ゆるくつながっている感覚」がありながら、一方で、緊急時などリアルタイムに連絡をとる必要がある際にも大きな力を発揮してくれます。