2016.04.30
Apple製品のビジネス活用に詳しいモビリティ・エバンジェリストこと、福田弘徳氏のコラムです。
教育現場におけるタブレット活用は年々高まっており、今年も入学時にiPadを児童生徒に配付している学校があるかと思う。そのときに多くの学校で問題となるのが、iPadの運用ポリシーだ。iPadを自由に児童生徒に使わせるのか、それとも否か。インターネットやSNS、授業に関係ないアプリ等の利用は児童生徒の自主性に任せるのか、一切禁止とするのか、それともその中間とするのか。どのように運用するかは実に難しい問題である。
ここであえて個人的な意見を言わせてもらえば、私は厳格な機能制限には反対だ。なぜなら、それは教育効果の阻害—3つの機会損失をもたらすからだ。
1つ目は「未知のものに触れる体験の機会損失」である。アプリやコンテンツ、新しいテクノロジーなど、新たなものに触れる機会が減ってしまうことで、児童生徒がさまざまな体験を獲得できない。
2つ目は「ITやSNSに対するリテラシー教育の機会損失」だ。制限された環境での利用が続くことで、児童生徒がリテラシーを豊かにする機会が得られない(もしくは先生が教えることができない)。
3つ目は「学習環境のモバイル化の機会損失」であり、児童生徒が教室の中だけでなく、いつでもどこでも学ぶことができる環境を奪ってしまう。たとえば、カメラ機能が禁止された場合、教室から持ち出した際に、屋外で見たものを記録し、その体験を発表するようなこともできなくなる。