2016.01.31
2月12日に公開される映画「スティーブ・ジョブズ」は、伝説となった3製品のプレゼンテーションの舞台裏で繰り広げられた、関係者たちの「心理戦」に焦点を当てた緊迫の人間劇だ。ここでは、劇中でのセリフを理解するうえでのキーワードを解説する。これを知ってから観れば、本編をより楽しめることは間違いないだろう。
英雄のもう1つの顔
世界を変えた男、スティーブ・ジョブズ。アップルの創業者にして、同社を世界最大の企業にまで成長させたこの人物の名を知らない読者はいないだろう。どんな人でも彼と話していれば惹きつけられてしまう「現実歪曲空間」の持ち主と揶揄されるほど強い影響力を持つそのカリスマぶりは、もはや伝説といえるほどだ。その強いリーダーシップが今日のアップルの成功の礎となっているのは間違いない。だが、その背後にある数多くの挫折や失敗、そして人間関係に端を発する苦悩について深く語られることはなかった。
本作では「初代Macintosh(1984年)」「NeXTcube(1988年)」そして「iMac(1998年)」という、ジョブズの人生の中でも象徴的なターニングポイントとなった3つの製品たちのプレゼンテーションをピックアップしている。成功が約束されたステージの幕が開けられるその40分前、舞台裏では誰が、何を語り、そして何が起きていたのか。エンジニア、友人、マーケティングパートナー、上司、そして元恋人とその娘。ジョブズを取り巻く人々とのやりとりが、一人の男としての「スティーブ・ジョブズ」そのものを実に生々しく描き出す作品だ。