2015.12.09
アメリカ企業文化にとって、不採算部門を人員ごと切り離して健全化する「レイオフ」はさほど珍しいことではない。しかし、これほどまでに有名企業が相次いでレイオフを実施するとなると話は別になる。加えて企業間の大型買収話なども増えているなど、IT業界はここへきて新たな「生き残り競争」への局面を迎え始めている。
生存競争の幕開け
「四半期決算」と聞けば、まずはアップルの話かと想像するくらい同社の業績は今や世界中の株式マーケットでも注目の的だ。3カ月ごとに「過去最高の業績」を謳い、右肩上がりの成長を続けるアップルを見ていると、業界全体が好景気であるような錯覚に陥りがちだ。しかし、現実の業界はそうも言っていられない。そこには厳しい現実があるのをご存じだろうか。
今年の8月にはレノボ(Lenovo)やHTCといった大手ハードウェアメーカーが2000人を超えるレイオフを実施。9月にはサムスン(Samsung)による1万人規模での人員削減が報じられるなど、経済ニュースを見てみると決して全体が順調ではないことがよくわかる。
この背景には、低価格スマートフォン分野で台頭し始めたシャオミ(Xiaomi = 小米科技)にシェアを奪われ、急速にその売り上げを落としていることが挙げられる。現在、世界でもっとも大きなスマートフォンマーケットとなった中国では、同社とファーウェイ(HUAWAI = 華為技術)の2社が上位に君臨している。その対極にあるハイエンド系スマートフォンはiPhoneが圧倒的なシェアを占めており、サムスンの「ギャラクシー(Galaxy)」やレノボのモバイルブランドであるモトローラ(Motorola)製品は苦境に立たされている。まさに「主役交代」が始まろうとしてしているのだ。