アイキューラボ「DIGNITY」のこだわり抜いた革への想い|MacFan

アラカルト アップルのミカタ

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アイキューラボ「DIGNITY」のこだわり抜いた革への想い

文●栗原亮

なぜ、アップルのミカタをするのか? アップル製品を手厚くサポートするハード&ソフトウェアメーカーの担当さんに、その理由を聞いてみた!

株式会社アイキューラボ
【URL】http://www.iqlabo.com

 

 

アップルのプロダクトがそうであるように、こだわり抜かれた製品が店頭に並び、人々の手に渡るまでには、その背景に数多くの苦労や試行錯誤がある。名古屋を中心にiPhone/スマートフォンアクセサリビジネスを手がけるアイキューラボが起ち上げた注目の新ブランド「ディグニティ(DIGNITY)」の誕生にも、さまざまな秘話が隠されている。ディグニティとは、“威厳”や“品位”を意味する言葉であり、同ブランドのコンセプトである「重厚で威厳を放ち、洗練された品位を示すスマートフォンアクセサリ」を象徴している。

これまでアイキューラボは、iPhoneケースをはじめとする海外ブランドの輸入代理や普及価格帯製品の企画・販売を中心にビジネスを行ってきた。ところが、そのままディストリビュータとして同じことだけを続けていたのでは、競合他社との差別化を図ることが難しくなる。丸山和之代表取締役はそう考え、スマートフォン事業部のメンバーを中心に新たなプロジェクトを発足。自社の持つ強みである個性的なアイテムを企画する力と販売のネットワークを活用し、「クオリティが高く、長く使い続けられるアイテム」の開発をスタートした。

しかし、輸入や販売のプロフェッショナルとしてのノウハウは持つものの、オリジナルのアクセサリをゼロベースで開発するのは同社にとって初めてのこと。「高品質な本革を採用した手帳型iPhoneケース」という商品イメージは固まっていたが、企画やデザイン、素材の調達、製造などのプロセスで想像以上の困難に直面したという。

一番に問題となったのは、革の調達だ。なぜなら当時、中国における製造価格が高騰する時期に差しかかっていたからだ。しかも、縫製や合皮の素材は良いのだが、本革のクオリティの面で問題を抱え、6社からサンプルを取り寄せたものの納得できるものが得られなかったという。

そこで、調達先として丸山さんが注目したのがバングラデシュであった。同国は南アジアの中では発展が遅れているが、その代わりに低コストで良質の本革素材が手に入る。革のなめし処理の方法は無数にあるため、現地にも足を運び、イメージに近いものを選ぶには数カ月をかけたそうだ。

また、デザインもこだわった部分だ。社内で製品コンセプトに沿ったデザインイメージを30数種類以上も考案し、プロジェクトメンバー間で意見をぶつけ合った結果、最終的には「トラディショナル」「アメカジ」「スタイリッシュ」「エレガント」という4つのカテゴリへと集約された。

「iPhoneケースは高級路線と次のモデルが出るまで保護できればよいという普及品と大きく二極化が進んでいると思います。我々が作るのであれば、iPhoneなら2年以上使い続けることに耐える、自分の手にしっくりとくる製品であることが重要だと考えました」

さらにサンプルを作成し、色、形状、カードが入るかどうかなどのバリエーションを細かく検討し、蓋を留めるベルトの位置までも細かな調整を繰り返した。こうして発案から2年かけて誕生したのが、ディグニティを冠する各製品だ。現在は、ヌメ革ケース、オール本革ケース、エナメル本革ケースがリリースされており、それぞれが自分の手に馴染んで何年経っても“主役”であり続ける風格を持っている。

このうちヌメ革ケースには、国産革製品の最高峰である「栃木レザー」を起用。その理由を、スマートフォン事業部MDの佐藤文博さんは以下のように語る。

「バングラデシュの本革を採用した本革ケース、エナメルケースの品質も十分に高いのですが、一目見て手に取りたくなり、革の匂いを嗅いでみたくなる存在感のあるものも発売したかったのです。ヌメ革ケースは一つ一つが職人さんの手作りによるものなので、その分価格は上がってしまうのですが実に良い製品だと思っています」。「本物」の手触りを確かめたくなったら、ぜひ取扱店舗で確認してみてほしい。

 

 

10月下旬より、高級文具店や大手ファッション系セレクトショップを中心に販売が開始された。また、ロサンゼルスの現地法人を経由してメイド・イン・ジャパン革製品の良さを海外に向けて発信していく予定だという。

 

「DIGNITY」のコダワリ

素材選び

租税条約の関係で中国よりも30%ほど安く高品質な本革素材を入手できるバングラデシュに注目。香港の事務所経由でサンプルを大量に取り寄せ、2~3週間かけて選定と確認を行った。最終的にバングラデシュの工場まで丸山社長自ら出向いた。

開発

マグネット式の本革ケースのときは2色の素材を組み合わせ、革の巻き込みの長さをコンマ数ミリ単位で調整を繰り返した。納得の行く仕上がりになるまで5回以上ダメ出しを行い、工場との往復の日々が続いた。

製造

ケース本体の高い質感に負けぬよう、パッケージのデザインにもこだわったという。標準的な価格帯の製品の4倍近くコストがかかったが、初の自社オリジナルブランドだけに力を入れたとのこと。

 

 

PRODUCT FOCUS

最高峰のメイド・イン・ジャパン品質

最高級品として知られる栃木レザーを用いた「ヌメ革ケース」(1万1852円)。留め具はネイティヴアメリカンのコンチョがモチーフ。ブラック、ブラウン、ダークブラウンの3色展開で、iPhone 6、6s、6プラス、6sプラスに対応。ボタン部分を革でくるんだタイプもある。

 

スタイリッシュな本革ケース

ビジネスシーンにもっとも合うスリムな「オール本革ケース」(9241円)。蓋の部分はマグネットによってピタリと閉じられる。外側と内側のカラーを組み合わせられるのが特徴で、ブラック×ブラック、ブラウン×ホワイト、ブラック×レッドの組み合わせがある。

 

女性向けの華やかなエナメルケース

エナメルの本革に星型のスタッズを散りばめた「スタッズエナメル本革ケース」(7389円)。エレガントさと気品さを兼ね備えた、使い込むほどに手に馴染むiPhoneケース。ブラック、ゴールド、シルバーという大人好みのカラーラインアップを揃える。

 

 

PRODUCER PROFILE

代表取締役
丸山和之氏

 

スマートフォン事業部MD
佐藤文博氏

 

スマートフォン事業部マネージャー
西野正樹氏

 

 

【取材後記】
アイキューラボは、米ブランドの「BALLISTIC(バリスティック)」の日本総代理店として販売を手がけるほか、「ye!!(イェール)」や「MOMAX(モーマックス)」、「ROCK(ロック)」のiPhoneケースやモバイルバッテリなど多くのアイテムを取り扱う。

 

【取材後記】
ディグニティを冠する製品は今後もどんどん増えていく。丸山さんによると、クラッチバッグや財布などレザー素材を活用した新ブランドとして展開していくそうだ。