フォーカルポイント西山社長を訪ねる|MacFan

アラカルト アップルのミカタ

アップルを熟知し、アップルファンを喜ばせる

フォーカルポイント西山社長を訪ねる

文●栗原亮

なぜ、アップルのミカタをするのか? アップル製品を手厚くサポートするハード&ソフトウェアメーカーの担当さんに、その理由を聞いてみた!

 

西山和宏(にしやま・かずひろ)

フォーカルポイント株式会社代表取締役社長。デザイン制作会社での映像制作を経て、2002年に同社入社。世界中からデザインや機能性に優れたモバイルアクセサリなどを発掘し、日本国内で販売をしてきた。2011年より現職で、マーケティング本部長を兼任する。趣味は釣り。手にしているのは同社のケーブルワインダー「TETRAN」をモチーフにした手作りキャラクター。【URL】http://www.focal.co.jp/

 

「他社にはない“飛び道具”的なアイテムを、いち早く皆さんにお届けできるのが我々の強みです」。iPhoneを中心としたモバイルデバイスのアクセサリの輸入・販売を行うフォーカルポイント代表取締役社長・西山和宏さんは自社の特徴についてこう語る。

フォーカルポイントといえば、古くからのMacユーザにとってはビデオカードなどの業務用映像機器を取り扱う会社、というイメージが強いかもしれない。だが、iPod登場以降はモバイルアクセサリ主体のビジネスに完全にシフトし、現在では「TUNEWEAR」「mophie」「OtterBox」など多数の海外ブランド製品を豊富に取り揃え、オンラインとリテール販売の両方で確固たる地位を築いている。

アクセサリビジネスの現状について尋ねると、数年前とは大きく状況が変わりつつあるという。

「ケース販売については飽和状態にあります。これは北米市場においてはより顕著に表れていると思いますね。もちろんiOSデバイスの出荷台数は伸びていますので全体としてのボリュームは小さくなっていませんが、参入障壁が低いため低価格なものが増えています。我々はベーシックな製品は維持しつつも高付加価値なアイテム、たとえばTUNEWEARの本革製iPhoneケースや耐衝撃のケースなど、ほかにはない個性的なものに2011年以降は特に力を入れています」

 

 

 

もちろん個性的といっても、それは単に見た目が他と異なるだけでなく、特にアップルファンであれば「あっ、欲しい」と直感的に感じられるようなトータルなデザイン性に優れた製品で、そのセレクションにファンは多い。

「ユーザ目線を常に意識した、“目利き”としての実績が評価されているのかもしれません。いち早く国内でリリースしたiPhone連動の魚群探知機(Deeper)のように、私の趣味が入っているものもありますが(笑)」

最近では各種センサを内蔵し、iOSデバイスなどと連係して動作するIoTデバイスや、身体に直接装着するウェアラブルデバイス関連アクセサリにも注力している。

「アップル・ウォッチ用の充電スタンドを取り扱うなど、この分野はこれからますます成長していくでしょう。ただ、個人的にはIoTという言葉は好きではないんです。ネットにつながるものが、なんでもかんでも一括りにされている気がしますから。iPhoneを“スマートフォン”として捉えてしまうような感覚に近いですよね。そうではなく、より本質的な部分を見極めながら、本当に価値ある製品を世に送り出していきたいです。

また、 単に製品をリリースするだけでなく、販売面での工夫も求められると思っています。というのも、iPhoneケースは家電量販店など従来のリテール販売との相性が良いのですが、スマートデバイスは複数の機能をミックスしたものが多いですよね。たとえば、iPhoneと連係する顔認識ホームカメラ(Netatmo Welcome)を最近取り扱い始めたのですが、これは量販店の1階にある携帯電話コーナーに置くのか、5階のセキュリティコーナーに置くのか迷いますよね。売り場が違えば販売員やバイヤーの持つ専門知識が異なり、良い製品であっても売れない=多くのユーザに届けられないケースが出てきてしまうからです」

西山さんによると、こうしたスマートデバイスの中で特に最近成長著しいのが、スポーツやヘルスケア関連製品だという。

「この2~3年で好調に伸びています。海外で販売されていても、日本では医療機器認証を取らなければならない等の障壁もあり、まだ広く普及はしていません。しかし、最終的にエンドユーザにメリットをもたらすものであれば、市場が成長するにつれ盛り上がるでしょうから、私たちも積極的に製品を市場に投入していこうと思っています」

そのため、アップルにはヘルスキットやホームキットのインフラをいち早く確立し、具体的にどんなことが実現できるのか、その新しい世界観をユーザに伝えてほしいと西山さんは願う。

「ティム・クック体制になって、アップルはiPhoneで撮影した写真やゴルフのシーンなど“体験”を強調するCMを流しています。iPhoneとアプリ、アクセサリがあれば、今はもっといろいろなことができますから、時代を変えられるアップルに先導してほしいと思っています」

フォーカルポイントは常にアップルが見据える方向性を重視しながら事業を行ってきた。

「アップルのスペシャルイベントは、私はもちろんのこと、社員皆がチェックしています。深夜に中継を泊まり込みで見たり、翌日の勤務中に確認するのは我々にとっては普通のこと。フォーカルポイント自体はそれほど大きな会社ではありませんが、そうしたユーザ目線を絶対に忘れない会社です。また、長年のアップル周辺ビジネスで培われた海外メーカーとの緊密なコネクションと信頼関係があるため、アップルファンが欲しくなるような個性的なアイテムを国内市場に提供することができるのです」

 

 

顔認識できるスマートカメラ

「Netatmo Welcome」は、iPhoneアプリと連動し、登録しておいた家族などの顔写真と照合して通知してくれる「スマートホーム」時代にふさわしいアイテム。オフィスの入退室チェックなど簡易的なセキュリティにも応用可能だという。フォーカルポイントのオンラインショップで購入できる。

 

iPhoneと連係する「IoT」アイテム

「ZEPP GOLF」(左)は専用のセンサをグローブマウントに取り付けることでゴルフスイングを解析できるデバイス。「Wahoo Fitness TICKR」(中)は正確な心拍数をモニタリングできる。「Deeper」(右)はポータブルのワイヤレス魚群探知機。いずれも取得したデータをiPhoneと連係できる。

 

デザインにこだわったラインアップ

アップル・ウォッチ用の充電スタンドも数ブランド取り扱っている。各国のデザイン賞を受賞するものなど、外観の美しさと機能性を兼ね備えた製品をいち早く国内で取り扱うのがフォーカルポイントの強みの1つだ。

 

ライトニング&USBケーブルを内蔵

アップルユーザのニーズを知り尽くした同社ならではのアイテムを揃える。「mophie powerstation plus」は、ライトニングケーブルとUSBケーブルを内蔵し、1台で本体の充電とiOSデバイスなどの充電を同時に行えるユニークなモバイルバッテリ。

 

西山さんの鞄の中!

 

 

❶メインで使用しているのはMacBookプロ15インチモデル(Mid 2012)。iPadエア(Wi-Fi+セルラーモデル)は主にテザリングで利用するほかプレゼンにも用いる。「画面は広くて大きいほうが使いやすいです。基本的に持ち物が多いのでTUMIのバッグは常にグッズで一杯です」。

 

 

❷iPhone 6には耐衝撃性能を備えたバッテリ付きケース「OtterBox Resurgence」を。64GBのストレージを備えたモバイルバッテリ「mophie spacestation」や、バッグの取っ手に取り付けられるチャーム型の「TUNEWEAR CableArt ランタン Lightningケーブル」を持ち歩く。イヤフォンはJayBird製のワイヤレスタイプ。

 

 

❸アナログなツールとしてはLEDライト付きの拡大鏡ルーペやモレスキンのノートを愛用する。また、ハイレゾオーディオを楽しむ際にはソニーのウォークマン「NW-ZX1」にチタン製のハウジングを採用した「ATOMIC FLOYD SuperDarts Titanium +Remote」の組み合わせで利用する。

 

【取材後記】
デジタルガジェットの中で異彩を放つLEDライト付きルーペは実は西山さんの仕事に欠かせないアイテム。「パッと見ただけではわからない素材表面の微細な仕上がりなどをチェックする際に使います」。

 

【取材後記】
個性的な社員が多いのもフォーカルポイントの社風だ。「普通に働きたいのであれば、別にうち(フォーカルポイント)でなくても構いません。社員には好きなことやっていいよ、と言っています。成果を出してくれれば、自由な働き方をしても構わないと思っていますから」。