ブラックマジックで働く下山さんを訪ねる|MacFan

アラカルト アップルのミカタ

ハイクオリティな映像機器を誰もが手軽に扱えるよう

ブラックマジックで働く下山さんを訪ねる

文●栗原亮

なぜ、アップルのミカタをするのか? アップル製品を手厚くサポートするハード&ソフトウェアメーカーの担当さんに、その理由を聞いてみた!

 

下山菜穂 (しもやま・なほ)

ブラックマジックデザイン株式会社・営業部。2014年7月入社で業務部、テクニカルサポートを経て現部署に配属される。イベントで製品紹介セミナーを行ったり、販売店とのやりとりをするのが主な業務。ポリカーボネイトの白いMacBookからMacを使い始め、現在は13インチのMacBookプロを使用中。趣味は女性アイドルのイベントに参加することで、乃木坂46の生駒里奈さん、橋本奈々未さんのほか、東京女子流(avex trax)のファン。「清純派の黒髪女子が大好きです」。

 

オーストラリアに本社を構えるブラックマジックデザイン(Black Magic Design)は、最先端技術を用いた革新的な放送・映像機器メーカーとして知られている。ハイエンドの業務用機器だけでなく、「ブラックマジックポケットシネマカメラ(Pocket Cinema Camera、以下BMPCC)」のような手軽に高品質な映像が撮影できるカメラなど取り扱い製品のバラエティは豊富だ。しかも、いずれの製品も従来の業界水準での常識からすれば驚くほどコストパフォーマンスに優れており、プロはもちろんアマチュアの映像愛好家からも注目を集めている。

そんなブラックマジックデザインに入社したばかりという下山菜穂さんも、ほかの先輩社員に負けず劣らずのMac好き、映像機器好きで、自社製品の魅力をさまざまな現場で日々アピールしている。

「学生時代は映像とは関係のない学部だったのですが、演劇や通訳の勉強を通じて映像機器に興味が湧いてきて入社しました。“カタチ”のある製品を扱う仕事がしたいという憧れもありました。お気に入りはBMPCCで、普通のミラーレス一眼のようなスタイルなのに映画のような深みのある映像が撮れるのが気に入ってます。見た目がかわいいのでどこに持ち込んでも違和感がありませんし、撮られている相手にも緊張感を与えずに自然な表情が引き出せる点がいいですね」

同社製品のユーザはクリエイティブ分野のMacユーザの比率が高いが、プロとアマチュアといったターゲット属性の区別をすることはしていない。同社では「ハイクオリティな映像機器を誰にでも手軽に使えるようにすること」をミッションとしており、下山さんも特定の製品ではなくすべてのハードウェアとソフトウェアのセールスを担当し、トレーニング業務などにも携わっている。

「映像編集とカラーコレクション用の『ダヴィンチ・リゾルブ(DaVinci Resolve)』はもともとコンソール向けのシステムでしたが、ビデオ撮影の普及とMacの編集環境が手軽に構築できるようになったため単体のソフトとして発売しています。この機能で12万円前後というプライスは破格なのですが、触ったこともない人もいるので別途アップストアから無償版ソフトを配布したり、有償のトレーニングコースを開催しています」

 

 

 

ほかのソフトもMacとの親和性が高く、2014年11月にリリースされた高機能VFXソフト「フュージョン(Fusion)」も当初はウィンドウズ版のみであったが、近いうちにMac版もリリースする予定だという。フュージョンはビジュアルエフェクト・アーティスト、モーショングラフィック・デザイナー、3Dアニメーターなどのための世界最先端の合成ソフトウェアで、これまでに1000本以上のハリウッド大作で使用されてきた実績がある。

「直感的な操作性はもちろん、ユーザインターフェイスもMacを強く意識したものになっています。また、機能のボタンアイコン1つを取ってみても、Macユーザやファイナル・カット・プロのユーザから違和感を感じさせないものになっています。また、ハードウェアも業務向けはどうしても実用重視のゴツゴツしたものが多いのですが、シネマカメラやコンバータもデザインにこだわっていることがおわかりいただけると思います。こちら(サンダーボルト接続のキャプチャ製品『インテンシティ・エクストリーム(Intensity Extreme)』)もアルミ削り出しでアップル製品と並べても見劣りしないのではないでしょうか」

 

 

 

ユーザターゲットを選ばず最高の品質のものを届けるという販売スタイルや、デザインやインターフェイスにこだわるという姿勢は確かにアップルとの共通点が多いと言えるだろう。実際に同社の創業者でCEOのグラント・ペティ(Grant Petty)氏も故スティーブ・ジョブズをリスペクトしており、本人はファッションに興味があるとは思えないのに、プロダクトデザインやWEBサイトやカタログのデザインは人一倍こだわりを持っているという。また、非常に野心家でスピード感を重視した経営を実践しており、撮影から編集、再生まで同社の映像製品群だけでポストプロダクション業務のワークフローをワンストップで展開できるというのも大きなセールスポイントと言えるだろう。この目指している事業スタイルもアップルとの類似性を感じさせるものだ。

外資系ならではの非常にユニークな社風と個性ある製品に囲まれた下山さんは毎日の仕事が驚きの連続でやりがいを感じるという。

「日本法人のスタッフは14名程度と比較的規模が小さいのでとてもアットホームな雰囲気です。周りにMacユーザも多いので仕事がしやすいというのがあるのかもしれません。会社の一番ユニークなところは、製品に現れていると思っています。特に、このクオリティの製品がこの価格で提供できるということは、映像機器について知れば知るほど驚きです。このことをもっと多くの人に知っていただきたいですし、積極的にアピールしていきたいと思っています」

 

ポケットサイズのシネマ用カメラ

ポケットシネマカメラはコンパクトな一眼カメラのように見えるが、CinemaDNG RAWおよびApple ProRes形式でフィルムシネマ風のハイクオリティ動画が撮影できる。レンズフォーマットはマイクロフォーサーズに対応しているので、コンパクトな撮影システムを構築できる。

 

北海道在住の岩谷圭介氏が取り組んでいる「風船宇宙」プロジェクトでは、BMPCCをバルーンに付けて上空30キロメートルの成層圏から映像を撮影するというもの。「ダイナミックレンジが広いため、雲のディティールが白飛びしていないところも見ていただきたいです」。

© Fusen Ucyu Project 2015 All rights reserved.
【URL】http://fusenucyu.com/
【URL】http://www.raitank.jp/archives/18184

 

編集機能も強化されたカラコレソフト

映像の色彩を補正するカラー・コレクションソフトのダヴィンチ・リゾルブも同社の主力製品の1つ。プロから映像に興味がある学生など広い層に使われており、無償のライト版はMacアップストアから入手可能。全国で不定期に初級・中級向けトレーニングコースが開催されるので、気になる人はbmd-japan@blackmagicdesign.comまで問い合わせしよう。

 

本社デモルームで機材の確認もできる

東京・外神田のブラックマジックデザインの社内では、ATEMスイッチャやVideohubルータ、HyperDeckレコーダ、Smart Viewモニタなどの各種周辺機器の動作を購入前に確認することが可能だ。本格的に導入を検討している人は事前に問い合わせよう。

 

下山さんの鞄の中!

 

❶デモンストレーション用に13インチのMacBookプロ・レティナディスプレイモデルを持ち運ぶ。USBメモリのように見えるのはダヴィンチ・リゾルブのドングルキー。iPadは第3世代の会社支給品。「iPadはマニュアルやプレゼンに使っています。分厚い紙のマニュアルを持ち歩かなくてよいので便利です」。

 

❷お気に入りの持ち物だという個人用のiPhone 5s(右)と会社支給のフィーチャフォン(中央)と名刺入れ(左)。「好きな色は水色なんですが、統一感がありませんね(笑)。営業の仕事で外出先を回ることも多いので、全体的に荷物は男子並みに多めです」。

 

❸同社のシネマカメラ「BMPCC」はカバンに収納しても邪魔にならない。「ミラーレス一眼のレンズがそのまま使えるので便利ですね、予備のバッテリも持ち歩きます。休日は公園のような自然の多いところで映像を撮影することがあります。友人に出演してもらったりして映画のような作品が作れました」。

 

【取材後記】
「インテンシティ・エクストリームはHDMI出力の映像を簡単に取り込めるので、ゲームのプレイ画面をキャプチャする際に役立ちますね。Macのレティナ画面で観ると、映像が美しく見えるのでいろいろとはかどります(笑)」。

 

【取材後記】
「もともとコンピュータの勉強として買ったMacですが、デザインの良さに惹かれてそれ以来ずっとMac一筋です。プライベートでもiMacを持っていますし、iPhone 5sも使いやすくて手放せません」。