TiP!のズッコケ交換日記⑦ 球体映画(カニエ・ナハ)


6月18日
前日の深夜、作業している最中に寝てしまい、気付いたら朝6時。パッと風呂に入り、借りてきた映画を見る。この監督の作品ではフランスで1番人気の作品で、10点満点中6点をとった作品だ。映画を見終わった後もう一度眠る。起床後、何故か引き出しの整理がしたくなり、2時間掛ける。その後飯田橋まで飯を食べに。サイゼリヤでスパゲティをつまみつつ、赤ワインを飲む。ここのサイゼリヤは妙においしい。あれだけ頼んで一人千円。帰宅後眠い目を擦りながら映画を見る。早く終われ、と祈りつつ。しかし睡魔に勝てず断念。僕にとって映画は全て眠いものだから、僕の辞書に「眠くなる映画」という言葉はない。(T)

 

6月18日(水)
午前中に面会の約束をしていたNさんから、こどもが生まれたので日を改めたいと連絡が入る。男の子。名前は「シュート」(漢字はわからない)というらしい。時間ができたので家電量販店を上の階から順に見る。大きなテレビが欲しいと思う。もしくはパソコン。いまこれを書いている、このタブレット型のパソコンは、とても気に入っているけれど、ときにあまりにも画面が小さい。(Y)

 

6月18日(曇り)

午後、今朝早くにこどもが生まれたSさんとサイゼリヤでスパゲッティをつまみつつ、赤ワインを飲む。ここのサイゼリヤは妙においしい、とSさんが言う。あれだけ頼んで一人千円は安い、と私は言う。サイゼリヤのテーブルに横に並んで座ってタブレット型のパソコンで映画を見る。「シュート」という映画。「眠くなる映画」と評判だけど、フランスでは評判がいい。10点満点中6点。しかし画面があまりにも小さいし、ワインのせいもあってか目がしばしばして、夢と映画の区別がつかない。(K)

 

6月18日(小雨)

今朝はやくに子どもが生まれた。男の子。凄いことなのだろうが凄いという実感がわかない。まるで映画の中の出来事のよう。ガラス越しに見たわが子は大きなテレビもしくはパソコンの画面の向こうのようでほかの子と区別がつかない。生まれてくるのも大変だったろうが、これから年を経るごとにもっと大変になってくるよ。と他人事のように思う。(S)

 

6月18日(雨のちくもり)

人生でもっとも幸せな日のはずだし、そうだとも思うけど、どこかで気分が浮かないのは、あのひとがこのことをなんだか他人ごとのようで、まるで映画でも見ているみたいに、うわの空に見えて。母も目ざとくそれをさっ知して、これだから男はだめなのよ、日ごろからお腹を痛めないから、人間の痛みがわからない。だからへいきで暴力する、浮気する、戦争する。サッカーしてくれてるうちはいいけど、いつかそれに飽きたらまた戦争するに決まってる。あの子も男の子だよ、と私が泣きそうになりながら言うと、かわいそうにねえ、と本当にかわいそうだというように言う。あたしだったらあの子を、女の子として育てて物心つくまえに、からだごと女の子にしちゃうけどね、などと冗談のようなことをまじめな顔をしていう。私は泣きたいきもちになった。(I)

 

6月18日(ひかり)

とうとう順番がやってきて、せなかをおされた。めまいのあとしばしホワイトアウト。気がつくと、おしこまれていて、本能的にあらがおうとするが、押し出すちからがあっとう的だ。あたらしい身体に覚醒して、やれやれ、また生まれるのか、と思う。まっ白い凶悪な光につつまれて、やれやれ、またはじまるのか、と。あたらしい意識と入れ替わるまで数ヵ月から長くて数年。虫に生まれることを懇願したが、おこないがわるくて却下された。せめて女に、と願ったがそれも却下。気が早いが、つぎこそは虫か動物ならラクダとかキリンとか。やさしげな生物で生き直したい。悪いことは極力しないこと。(Q)

 

6月18日(蛍)

ねんがんかなってほたるになる まいとしあのひととみにきてたばしょ ひかるのにずいぶんたいりょくをつかうことがわかった あのひとはわたしをみつけてくれるだろうか またばかみたくせんそうごっこなどしてないといいのだけど もうじかんがない(F)

 

 

2014.6.25

 

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