対局室とは別に、陣屋内には報道陣や関係者が詰める控室が用意されています。こちらの部屋では原稿作成などの取材活動の他、本局の検討が行われています。現局面がまだ序盤ということもあって、検討陣も現在はリラックスムードです。
11時30分頃、控室に窪田義行六段が姿を見せました。窪田六段は森下九段と同門で、(故)花村九段門下。森下九段の弟弟子にあたります。鶴巻温泉は都内から電車で1時間ほどの立地なので、陣屋でタイトル戦が行われるときには多くの棋士が研究に訪れます。
窪田六段のプロフィール: http://www.shogi.or.jp/player/kishi/kubota.html
(差し入れを携えて控室に登場の窪田六段)
(撮影用に封を開ける)
(窪田六段の差し入れは鎌倉銘菓の「松ぼっくり」と「小鳩豆楽」)
(若葉)
将棋の公式戦では、先後の手番を決めるために振り駒を行います。振り駒とは、サッカーなどのスポーツ競技で使われるコイントスと同じようなもの。歩を5枚使用し、歩の表(=「歩」の文字が書かれている側)と裏(=「と」の文字が書かれている側)のどちらが多く出るかで手番を決めます。
将棋界では、振り駒の際に使用する歩は上座側のものを使うのが慣例。「歩」の枚数が多ければ上座の棋士が、「と」の枚数が多ければ下座の棋士が先手番となります。プロの将棋では先手のほうが若干勝率が高くなっているため、振り駒も番勝負の行方を左右しうる重要な要素となっています。
本局の振り駒は「歩」が3枚。先手番は加藤女王となりました。
(まず畳に白布を敷く。振り駒を行うのは記録係の役目。タイトル戦では、対局場に所縁のある人物が代わりに振り駒を行うこともある)
(振り駒には上座側に並べられた駒から歩を5枚取って使う)
(よく振って……)
(白布へ)
(本局は「歩」が3枚、「と」が2枚。加藤女王の先手となった)
(若葉)
丹沢山麓に位置するこの地は湧水に恵まれており、古来より豊かな温泉が湧いていたとされています。温泉地としては明治の終わり頃から開け、平塚駅から秦野方面に馬車などが通じていて、「大山詣」の客が多く立ち寄ったそうです。
「大山詣」とは、大山の阿夫利(あふり)神社に白衣姿で参詣すること。6月にするものを初山、7月にするものを盆山といい、神社に祭られている大山石尊大権現が博打と商売にご利益があったことから大勢の江戸っ子たちが押しかけていました。「大山詣」は落語の話にもなっています。
鶴巻温泉の泉質はカルシウム含有量が世界有数で、刺激が少なくさっぱりとして柔らかいお湯。温泉に入ると石鹸で洗い流したような肌触りになると言われており、神経痛や慢性婦人病、外傷に効果があるとされています。
陣屋ホームページ: 鶴巻温泉
(小田急線「鶴巻温泉」駅。写真は昨日のもの)
(様々な効能があるとされる鶴巻温泉。神奈川県で飲泉の許可を得た第1号の源泉なのだそうだ。泉質はカルシウムとナトリウムの塩化物泉で、弱アルカリ性)
(陣屋の大浴場)
(若葉)