▲斎田女流五段-△長谷川女流初段戦は相振り飛車に進んでいる。もう一局の▲清水-△里見戦と比べると、こちらは指し手の進度的に緩やかな立ち上がりだ。長谷川女流初段が慎重に時間を使っている。振り飛車は互いに得意にしている戦法で、お互いに振り飛車を目指せば相振り飛車になる。囲い方、攻めの形を自由に作れるため、作戦の幅が広いのが大きな特徴だ。しかしこのことは反面、序盤の駒組みの難しさにつながる。漫然と駒組みをした結果、戦いが起こる前に差が開いてしまう可能性もあるわけだ。先手は3筋の歩を打たず、矢倉に組む含みを残している。相振り飛車では「矢倉に組めれば作戦勝ち」という言葉がある。もちろんそこまで単純ではないのだが、矢倉に組むことがひとつのアドバンテージになることは確かだ。まずは開戦前の間合いの取り合いに注目したい。
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