（本局についてのレポートは『週刊将棋』12月16日号に掲載予定です。写真は12月９日号）

（睡蓮）

図は14時10分過ぎの局面。後手が△５三角として先手の歩を払ったところですが、石井四段はこの手を見て意外そうな声を上げました。
代えて△８五歩と桂を取り、以下▲８一馬△６二飛と進めれば簡単ではないというのが石井四段の見立て。△５三角では８五の桂が残ってしまうので、以下▲８一馬△６二飛▲５五桂と進めれば先手が優勢になりそうです。

（睡蓮）

14時32分、△５七桂に対し、西山奨励会三段が▲５二銀と着手しました。この手が厳しく、先手勝勢といって過言ではない、と石井四段。以下△５二同金には▲３二成桂△１二玉▲２二銀で後手玉は寄り筋です。


（昼食休憩明けの西山奨励会三段）

（睡蓮）

▲西山三段－△伊奈川女流初段戦は14時39分、101手までで西山三段の勝ちとなりました。消費時間は▲西山１時間29分、△伊奈川２時間15分。勝った西山奨励会三段はベスト４入りが決まりました。準決勝では香川愛生女流三段と対戦します。

（若葉）

（初のベスト４入りを決めた西山奨励会三段）

（敗れた伊奈川女流初段）

（感想戦の前に主催者による簡単なインタビューが行われた）

――全体を振り返っていただけますか。

西山：あまり指されたことのない仕掛けで……。中盤は７筋（後手）と５筋（先手）の攻め合いだったので、少し得かと思っていたのですが、攻めあぐねてしまって。

――「攻めあぐねた」とはどの辺りでしょうか。

西山：▲５三歩（59手目）と打ったところはよいかと思ったのですが、▲８五桂（63手目）に金寄り（△６三金）うっかりしてしまいました。金を上がるしかない（△８四金）と思っていて。何も見えなくなってしまいました。▲６五同飛（73手目）には△５三角と歩を払われる手を気にしていました。そうすると８五の桂を取られる手が残ってしまいますし、後手に桂が入れば△５七桂の筋もあるので、苦しいと思っていました。

――では、▲９一角成（75手目）と成り込んだところは、先手駒損ながらも……。

西山：はい、勝負になったかなと思っていました。

――準決勝は香川愛生女流三段との対戦です。意気込みを頂戴できますでしょうか。

西山：まだ時間はたっぷりありますので、しっかり作戦を立てて頑張りたいと思います。


――同じ質問になりますが、一局を振り返っていただけますか。

伊奈川：あまり仕掛けがうまくいかず、苦しかったです。

――西山さんのおっしゃった▲８五桂（63手目）の辺りはいかがでしょうか。

伊奈川：うーん、でも、どの変化も自信がないですね。

――ありがとうございました。

（睡蓮）