(西山女王は7連覇達成)
――振り飛車穴熊は予定の作戦か。
西山 いえ、急戦模様になる可能性が高いと思っていたので、(本譜は)正直準備が手薄なところではありました。
――▲2六歩(59手目)から▲4五歩(63手目)のあたりの手ごたえ。
西山 穏やかな展開にして銀冠穴熊に組まれてしまうと、囲いの差で後手がいいと思っていたので、早めに玉頭の位を奪還してどうかな、と思っていました。
――▲4四角(71手目)のあたりは。
西山 こちらの歩得なのと、後手の6三銀の働きが一瞬弱いので、少しいいのかなと思いました。
――最後の詰みを読むのが早かった。
西山 そこに至るまでは読み抜けも多かったので、もう少し速い寄せがあったと思います。
――7連覇について。
西山 一局一局の積み重ねで7連覇を達成できました。(本棋戦は)修業時代からお世話になっているタイトル戦ですので、またタイトルをお預かりすることができて、うれしく思います。
(大島女流二段のタイトル初挑戦が終わった)
――銀冠の持久戦にしたのは予定だったか。
大島 銀冠から仕掛けようと考えていたのですけど、穴熊までは考えていませんでした。
――銀冠穴熊に組み替えたあたりは。
大島 バランスが悪くて序盤から自信がなかったです。
――中盤は苦しくなった。
大島 玉が薄いので、すぐには悪くならない手を指したかったのですが、そのあたりの手がわかりませんでした。
――今回のシリーズを振り返って。
大島 タイトル戦という貴重な経験ができたのはよかったのですが、反省点の多い将棋でした。
(牛蒡)
上図は14時16分の局面。先手優勢です。ここまでの流れを阿久津八段に聞きました。
「大島さんは嫌な順を少しずつ気にして指したと思いますが、その結果、金銀が離れてしまいました。1図の後手陣は浮き駒が多く、バランスの取りづらい将棋です。実戦は△5三金としましたが、先手の穴熊は金銀3枚、後手は2枚で玉形に差がつきました。相穴熊戦でこの差は大きいです。△5三金以下、西山さんは自玉の堅さを頼りに、▲2六歩△同歩▲2五歩△4二角▲4五歩とさばきました。好判断だったと思います」
「上図まで進み、先手は次に▲3五歩△同銀▲4三歩成が厳しい攻めになりますが、後手はそれがわかっていても受かりません。先手優勢です」
(牛蒡)