「AIを超えた一手」として語り継がれているこの一手。当時の最強将棋ソフトが6億手読んでやっとこの手を最善手として挙げたという。
藤井は2つ目のタイトルを獲得しようとしていた。木村の相掛かりを受けて立ち、図の局面で1日目が終了して次の一手を封じた。翌朝、開けられた封じ手はまさかの一着だった。
この2020年度最終戦で放った一着により、本局は名局賞の特別賞を受賞することになる。図の☖8八角成に対し、藤井は☗8四飛と飛車を取らなかった。
第30期竜王戦ランキング戦6組
加藤一二三九段 vs 藤井聡太四段
「天才の系譜を継ぐもの」
第91期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第1局
渡辺明棋聖 vs 藤井聡太七段
「歴史的シリーズの序章」
インタビュー 藤井聡太棋聖
最年少初タイトルを語る
「もっともっと強くなりたい」
第61期王位戦七番勝負第4局
木村一基王位 vs 藤井聡太棋聖
「天王山に消えた勝機」
新春スペシャルインタビュー
藤井聡太二冠
「二冠奪取を振り返る」
第34期竜王戦七番勝負
豊島将之竜王 vs 藤井聡太三冠
「史上最年少四冠の誕生なる!」
第71期ALSOK杯王将戦七番勝負第4局
渡辺明王将 vs 藤井聡太竜王
「誰が藤井を止めるのか」
第72期ALSOK杯王将戦七番勝負第5局、第6局
藤井聡太王将 vs 羽生善治九段
「宇宙人?の名勝負」
第71期王座戦五番勝負は文字通りの死闘だった。
永瀬王座の周到に用意された作戦と、ボロボロになっても指し続ける姿勢に
このタイトル戦に懸ける執念が見て取れた。
そして、藤井竜王・名人もまた、もがいていた。
角換わり後手番での戦い方に苦慮し、
永瀬王座の気迫あふれる指し回しに
局面をリードされることも一度や二度ではなかった。
それでも、最後に勝ったのは藤井だった。
夢の全冠制覇を21歳の若武者が成し遂げたのだ。
大記録達成――。
将棋界のすべてのタイトルを手中に収めた藤井竜王・名人だが、
これが彼にとってゴールではないことを我々は知っている。
今回の王座戦にしても、誰よりも満足していないのは彼自身だろう。
将棋を極める道のりにゴールなど存在しない。
藤井聡太八冠の物語は、
これからも続いていく。