【藤井聡太八冠誕生記念 特別公開】第72期ALSOK杯王将戦第5、6局「宇宙人?の 名勝負」|将棋情報局

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【藤井聡太八冠誕生記念 特別公開】第72期ALSOK杯王将戦第5、6局「宇宙人?の 名勝負」

藤井聡太八冠誕生を記念して、将棋世界本誌に掲載した特集から厳選したものを将棋情報局で公開します!

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 第6局の立会人を務めました、深浦康市です。今回はシリーズ全体を振り返りながら、第5局と第6局を解説します。
 初めての藤井―羽生の番勝負は、羽生九段がいままで培ってきたものをどう表現されるかが楽しみでした。ポイントのひとつが羽生九段の作戦選択です。いまの藤井王将は先手だと角換わり、後手だと2手目△8四歩で最新形を目指します。対する羽生九段は先手も後手も作戦の引き出しが多く、なかなか予想できません。
 第1局は羽生九段の後手一手損角換わりで本当に驚きました。最新形を外すためとはいえ、藤井王将は角換わりがエースです。角交換系の将棋に一手損して飛び込むのはリスクが高いとも感じました。
 第2局は羽生九段が相掛かりで快勝しました。そっぽに金を打つ攻めはいかにも羽生流で筋悪の好手を見逃しません。
 第3局は4手目に△4四歩と止める雁木系。振り飛車もあるかもと思いました。
 第4局は角換わりで、先手が工夫した形から攻め倒しました。前に前に出る将棋こそ羽生九段のよさが生きるでしょう。
 羽生九段は藤井王将の経験が少ない形に誘導し、いかに積極的な駒運びをできる展開にするかを練っていたと思います。

第5局は島根県で行われた。ここまで、すべて先手番が制するハイレベルな指し手の応酬となっている(提供・日本将棋連盟)
 
意表の横歩取り
 第5局は羽生九段の横歩取りでした。挑戦権を獲得する原動力になった戦法ながら、2日制の七番勝負では指さないと思っていたので意表を突かれました。横歩取りは短手数になりがちで、粘りが利きません。それに最近のタイトル戦は1日目でもバンバン進んでしまい、そこで間違えてしまうと8時間の持ち時間では取り返しがつかないですから。正直、可能性はゼロだと思っていたぐらいです。
 藤井王将は青野流で対抗し、1日目から激しくなりました。後手が竜を作る辺りまでは羽生九段が用意していた順で、前例はありながらも若手にあまり評価されていない形を掘り起こした印象です。

 2日目の午前中もどんどん進み、△6五桂(第1図)と反撃します。▲7八金は△5七桂不成があるので、▲6六角と受けるのが自然です。△7七桂成も▲同角で、玉形に差があるので先手がやれそうでしょう。ところが、藤井王将は▲6三竜と一気にアクセルを踏みます。王手で金を取られるのに大丈夫かと思っていたら、直後に飛車を取られるところに打ち込む強襲に出てびっくりしました。

 第2図は4一に金を打ったところで、代えて△6九飛は▲4二角成△同銀▲4一銀から詰まされました。△4一金でその詰めろを防いだとはいえ、大駒2枚が急所に利いていて玉は薄いままですし、金を手放すと先手玉への寄せが遠のくので、よく打ったなと感じた辛抱です。
 実戦の▲5三銀は自然ながら詰めろになっていません。一瞬の間隙を突く△5六歩で急に先手玉に嫌味が出てきました。5七の地点は中住まいの急所で、どこかで△8四角と竜取りで狙う筋があります。
 第2図の評価値は先手にかなり振れていて、▲5二銀ならスムーズに勝っていたようです。△同金▲同竜△4一銀に▲6一竜が緩く見えても、△6九飛と△2九飛はどちらも次に詰めろをかけられないので、▲5一金!から▲4一金で受けなしにする寄せが間に合うというわけです。でもこれは相当に指しにくいですね。

 ギリギリの競り合いで▲3五銀(第3図)は終盤を得意にする藤井王将らしい手。詰めろになっていて、仮に△6九飛なら▲4二銀成△同金▲同角成△同銀▲4四桂△同歩▲4三金△同玉▲4四銀△同玉▲4二竜△4三桂▲5五銀△3四玉▲3五金△同桂▲4四竜△2五玉▲3五竜△1四玉▲2六桂(A図)までです。

 しかし、羽生九段も懐の深い△3三桂で返します。これで先述した詰み筋の▲4二銀成△同金▲同角成△同銀▲4四桂△同歩▲4三金に、△同玉ではなく△2一玉と作ったばかりのスペースに引いて詰みません。さらに3三の桂は攻めに使う含みさえあります。先手はカナ駒を渡すと5七に打たれて詰むので、▲4二銀成から攻めるわけにいきません。
 ちなみに藤井王将は第3図で△2九飛を心配していたそうで、羽生九段も驚いたようです。飛車打ちは先述した▲4二銀成からの詰み筋に対し、最後の▲2六桂(A図で6九の飛車が2九にいる)に△同飛成と取れるので後手勝ちになります。△2九飛の局面は難解です。

 ▲5四桂(第4図)が最後の勝負どころでした。本譜は△5一銀打と受けたものの、▲4二角成△同銀▲5三銀△5一角▲4二桂成△同角に▲4五銀が決め手で、以下△同桂に▲4二銀成からばらして▲5四桂で詰みました。桂を渡さないようにする▲4二角成がポイントで、代えて▲4二桂成△同銀▲5三銀は△6六桂から先手玉が詰まされてしまいます。
 第4図は感想戦で示された△5七銀で激戦でした。▲同銀△同桂成▲同玉△8四角▲7五銀(B図)まで進みます。▲7五銀が面白い手で、△6二角だと▲4二角成△同金▲同桂成△同玉▲5四桂で先手勝ちです。以下△5三玉は▲6四銀打、△5二玉は▲6二桂成△同玉▲7三角から寄りです。そこで、B図は△4五桂が第2弾の好手。▲6六玉△6二角に、今度は▲4二角成からばらして▲5四桂とされても△3三玉で詰みません。というわけで▲6二同桂成に△7五歩▲6三角△5三銀打でどうか。△5三銀打は▲4一角成の詰めろを解除しています。▲9一角成なら△5四銀打や△6二銀で難しく、また▲4四桂△同歩▲4一角成△同玉▲5二金△3二玉▲5三金(桂捨ての効果で△4四角がない)も混戦です。

 2日目の午前中の段階で藤井有利になりながらも、羽生九段が白熱の終盤戦に持ち込みました。▲3五銀(第3図)と△3三桂は見事な応酬で、膨大な読みでお互いにかなり消耗したことでしょう。
 藤井王将が第5局をものにしたのは大きかったです。王将防衛の目途が立ち、過密日程でも前向きに取り組めたでしょうから。第6局を迎えるまでにA級の最終戦、棋王戦第3局、A級のプレーオフと大勝負が続き、名人戦の挑戦権を獲得しました。私は棋王戦第3局の立会人も務めました。詰みを逃した藤井王将はいままでにないほどガッカリした表情でしたが、感想戦ではいつも通り活発に意見を交わしています。切り替えの早さに第一線で戦う人の境地を見た気がしました。

藤井が激戦を抜け出して防衛に王手。最後までぎりぎりの勝負だった
(提供・日本将棋連盟)



 第72期ALSOK杯王将戦七番勝負第6局
 令和5年3月11、12日
 於・佐賀県三養基郡上峰町堤「大幸園」
▲九段 羽生善治
△王将 藤井聡太

▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩2△8五歩 
▲7六歩1△3二金 ▲7七角 △3四歩 
▲8八銀 △7七角成▲同 銀 △2二銀 
▲4八銀1△3三銀 ▲3六歩 △6二銀 
▲3七銀1△7四歩1▲7八金 △7三銀 
▲4六銀 △9四歩1▲1六歩2△6四銀7
▲3五歩4△同 歩2▲同 銀 △8六歩 
▲同 歩 △8五歩 ▲3四歩1△2二銀10
▲6六歩2△8六歩2▲8八歩 △3三歩 
▲6五歩21△同 銀5▲4六角17(第5図)
 
戦型ではなく作戦を変える戦略
 第6局は羽生九段が角換わりを選びました。私はまだシリーズで出ていない矢倉、快勝した第2局の相掛かりが本命で、またも当たらなかったです。そして、第4局と同じ角換わりでも、腰掛け銀ではなく早繰り銀に変えたのは巧妙でした。羽生九段自身がストレートに先手早繰り銀を選んだのは5局あるかどうかで、自身の前例をベースにした秘策です。藤井王将も予想しにくかったでしょう。

第6局立会人の深浦康市九段。控室での検討に熱が入る

 第5図以下の指し手
△6四角1▲6八飛5△7三桂3▲7五歩8
△同 歩72(第6図・昼食休憩)
 
自身の前例を踏まえた攻め
 ▲4六角(第5図)に△7三角が、昨年11月の叡王戦▲永瀬拓矢王座ー△羽生戦です。以下▲6八飛△6四歩▲7五歩△同歩▲6六銀△7四銀▲3三歩成△同銀▲5五銀で、6筋を突破できる先手がペースを握りました。左辺で積極的に手を作るのが先手の構想で、後手は壁銀と飛車のコビン攻めに神経を使います。
 藤井王将は△7三角ではなく△6四角と手を変えます。続く△7三桂で後手陣はスキが多く、かなり怖い形です。▲3三歩成△同銀▲6五飛の強襲は、△同桂なら▲6四角△同歩▲7三角△6二飛▲6三歩で決まりますが、△4六角▲同銀△6五桂▲7三角△6二飛と応じれば▲6三歩が打てないので後手よし。王手飛車はこの先も水面下に潜む攻め筋です。 戦線を拡大する▲7五歩に、△同歩(第6図)は1時間強の長考。ほかに△8四飛や△7二金もあったと思います。

 第6図以下の指し手
▲6六銀69△4六角19▲同 銀 △6六銀 
▲同 飛 △7四角 ▲3三歩成4△同 銀
▲4八玉 △4四銀18(第7図)
 
見送った攻め
 インタビューで第6図を問われると、羽生九段は成算を持てずに見送った手があると答えていました。それは▲6四角△同歩▲3三歩成△同銀▲7四歩△同銀▲6四飛(C図)です。まず①△8四飛は▲4一角が決め手。△同玉は▲6一飛成、△6三歩も▲7四飛△同飛▲3二角成や▲6三同角成△同銀▲8四飛です。

 感想戦で第6図に差し掛かり、藤井王将がC図で②△8五角を示すと羽生九段は「そっちですかぁ」と話していました。△8五角は角を手放しても戦いを収めれば歩得が生きるという大局観です。検討されたのは▲9六角△同角▲同歩△8五角に、まず▲8六銀は△4九角成▲同玉△8六飛▲7四飛△6三金▲7五飛△7四歩です。以下▲5五飛と逃げても△5四歩▲5六飛△同飛▲同歩△2八飛で玉の堅い後手よし。途中の▲8六銀に代えて▲5八角も△同角成▲同金△8五角で後手十分。次は△6三銀▲6六飛△6四歩と守れば堅いです。後手はさらに玉形を整備したり、△7二金と安定させれば、△6五桂や△4四銀と攻められます。
 羽生九段は③△6五角を考えていたようで、▲5六角△同角▲同歩△6五角で先手が忙しいです。次は△6三歩がありますし、かといって▲5五角と攻めても△7二金で受け止められます。
 本譜の▲6六銀に△5四銀は▲3三歩成△同銀▲7四歩があり、また直後の▲4六同銀に△7四銀は▲7五銀△同銀▲7四歩で攻めが続くので、銀交換には応じるしかありません。▲6六同飛まで進むと先手の持ち駒は角銀になり、いまは歩切れでも▲3三歩成で解消できます。
 しかし、△7四角が攻防の一着。▲6三飛成と▲7四歩を受けながら、4七の地点をにらんでいます。やはり後手は2歩得なので先手の動きを止める方針です。△4四銀(第7図)で私は後手持ちになりました。2二にいた銀が手に乗って進み、▲5五銀を消して安定しています。


2日目の昼食休憩明け、対局室に戻る藤井。羽生の指し手にどんな答を用意しているのか

 第7図以下の指し手
▲3八金21△7二金53▲3九玉59△3三桂17
▲3四銀18(封じ手)     △5二玉11
▲7七桂17△8四飛61▲2八玉13(第8図)
 
二人だけの対話は宇宙人?
 第7図は重要な局面で、感想戦の最後に戻って検討したほどでした。▲3八金に代えて、▲6四歩は△同歩▲同飛△6三銀(D図)と進みます。①▲6八飛と逃げると△6五歩▲2八角△7二金▲5五銀が予想されます。先手は自陣角を打ち、飛車のコビンを狙いながら銀をぶつけます。まず藤井王将が以下△3三桂を示すと▲6四歩△5二銀▲6三銀△同角▲同歩成△同銀▲4四銀△同歩▲6四銀が並べられて、羽生九段は「これぐらいやるべきだった」と話していました。後手は角銀交換を甘受して角のにらみを警戒していますが、最後の▲6四銀で角を使えるかもしれないので先手有力です。そこで、途中の△3三桂では△5五同銀も検討されました。▲同角に△4四銀▲2八角△5四歩とし、次は△5五歩で押さえ込むというわけです。△5四歩に▲6四歩△5二銀▲6三銀と攻めても、△同角▲同歩成△同銀で後手陣が厚く、先手は角が使いにくいので大変でしょうね。

 一度はこれで次の局面に進んだのですが、感想戦の終わり間際に羽生九段がD図で②▲6六飛を示します。これなら△6五歩に▲5六飛で飛車が軽く、角を手持ちにしたまま▲5五銀や▲5五銀打で動けそうです。そこで▲6六飛には△7二金とし、▲5五銀打△3三銀▲6四銀△同銀▲同飛△6三銀▲6八飛が並べられました。この▲6八飛とD図で▲6八飛の違いは、7二の金と3三の銀の位置です。銀が3三なら▲6八飛に△6五歩と打たれても、▲5五銀と出れば手を作りやすいですかと羽生九段は話したそうです。実は②▲6六飛の変化は駒を動かさずに口頭でやっていて、声が小さくて盤側に座っていてもよく聞こえず、あとで観戦記者の方に教えてもらった手順です。対局室で見ているときは藤井王将と羽生九段だけで意思疎通できていて突然、笑い出したものですから、私も「ついていけない。まるで宇宙人同士の会話だな」と思ったほどです(笑)。
 本譜は△7二金に踏み込めなかったのが先手の誤算でしょう。羽生九段は攻め駒を増やす①▲7七桂が本線だったように思います。しかし、羽生九段がいったように△8七銀が好手で▲同歩△同歩成▲6四歩△7八と▲6三歩成△同角▲6四歩△5四角▲6三銀に、△6五歩や△8九飛成から△2九竜で先手負けです。
 控室では②▲5五銀打△3五銀打▲4四銀△同銀▲5五銀打だと千日手だと話していましたが、藤井王将は△3五銀打ではなく△8七銀の予定で、▲4四銀△7八銀成▲5三銀成△5二歩▲6二銀△同金▲7一角△5三歩▲8二角成△7六金▲5六飛△同角▲同歩△6八飛と進むと、駒得の後手がよいです。
 ③▲6四歩は△5五銀打で逆用されます。▲同銀△同銀▲3六飛△3三歩▲6三歩成に△同角が飛車取りになります。
 本譜は④▲3九玉と囲ってチャンスを待ちます。後手も△5二玉や△8一飛で陣形を整えるかと思いきや、前を向く△3三桂は好手でした。▲2八玉だと△3七歩▲同銀△4五桂、またそれを含みに△5二玉と整えて後手の作戦勝ちです。
 封じ手は桂跳ねを防ぐ▲3四銀で、羽生九段は「もう先手が悪い。▲3八金の罪が大きい」と話していました。

 第8図以下の指し手
△3六銀29▲5六歩19△4五銀上10▲2一角4
△3一歩14(昼食休憩)   ▲4五銀引28
△同 桂15(第9図)
 
藤井王将だけに見えた攻め筋
 第8図で①△8三角が控室の検討で、飛車の横利きを通せば次に△5五銀打で攻められます。②△4五銀打▲同銀△同銀の前進も候補に挙がっていました。ところが実戦は③△3六銀で、誰も気づいていなかったです。△4七銀成を受ける▲5六歩に△4五銀上がうまい呼吸で、狙いは第9図でわかります。

 第9図以下の指し手
▲6四歩67△5七銀8▲6七飛13△4六銀成17
▲同 歩3△5六角 ▲6三歩成2△同 金
▲6一銀△6二玉9▲7二銀打1△3八角成
▲同 玉 △4七銀打▲同 飛 △同銀成 
▲同 玉 △5七飛 (投了図)
 まで、88手で藤井王将の勝ち
(消費時間=▲6時間43分、△6時間25分)
 
美しい光景
 第9図で①▲3七歩は△5七銀▲同銀△同桂成▲3六歩△5六成桂▲6八飛△4七成桂で困ります。△5七銀の厳しさ、直前の△3六銀で5筋を突かせてから銀をぶつければ実現できるというのは脱帽しました。本譜の②▲6四歩に△5七銀から一直線に攻め合って後手勝ちです。

 投了図は▲3六玉に△3七桂成▲同桂△3四飛▲3五歩△同飛▲同玉△3七飛成、▲4八玉は△4七金▲3九玉△3四飛▲3七歩△5九飛成▲2八玉△3七桂成▲1七玉△2七成桂▲同玉△2九竜▲2八銀△3七飛成までの詰みです。
 見事な攻めの構想で第9図は先手にチャンスがないかと思いきや、藤井王将が③▲6八金を指摘して、羽生九段が感心していました。△5七銀に備えているものの、8筋を明け渡すので大胆です。まず△2二金だと、藤井王将は▲6一銀△同玉▲4三角成△5二銀▲3四馬が心配だと話しました。銀捨てで馬を作るのは強引なようでも、▲3四馬まで進めば▲4五銀や▲3五馬が楽しみですね。また△2二金に代えて△8七歩成なら▲同歩△同飛成に▲3七歩があります。
 藤井王将は快勝ながら、▲6八金があるなら本譜の△3六銀はよくなかったと反省していました。よく「課題が残ったので読みの精度を上げていきたい」と話すのは、非常に高度で細かいところを突き詰めているから出てくる言葉でしょう。
 藤井王将に七番勝負を2勝2敗で折り返した棋士はいままでいなかったので、羽生九段の底力が印象に残りました。実は第6局で投了する30分ほど前から悔しさがにじみ出て、いままで見たことがない表情でした。なんとしても最終局に持ち込みたかった気迫を感じましたね。
 感想戦は両対局者ともに本当に楽しそうで、惜しげもなく自分の読み筋を披露し納得いくまで考えるのは、美しい光景です。先述したように、最後はD図で▲6六飛を検討し、ふたりだけの世界に入って笑い合い、お開きになっています。翌日に羽生九段と話すと朗らかで、あのやりとりがあったからこそ一区切りついたように思います。世代を超えた第一人者同士の番勝負はまた見たいです。

全景姿勢で読みふける両対局者。物音ひとつない対局室に静かな火花が散る

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