2018.03.12
四間飛車LOVE! 井出隼平四段インタビュー
3月13日に井出隼平四段による新刊「四間飛車 序盤の指し方完全ガイド」が発売されます。発売を記念して著者の井出先生にインタビューを行いました。
将棋ファンにもあまり知られていない、井出先生の素顔。本邦初公開です!
「こちらこそよろしくお願いいたします」
――まず、今回の書籍「四間飛車 序盤の指し方完全ガイド」について教えてください。
「先手四間飛車の指し方を解説しています。幅広い戦型を取り扱ったので初段を目指そうというくらいの方から、四段、五段の高段者の方まで参考になる内容だと思います」
――私も読みましたが、昔ながら四間飛車対急戦の形もありつつ、居飛車穴熊のところはかなり深く解説してありました。
「そうですね、その部分だけは相当重たい(笑)内容になっています。急戦は一通り、これだけ覚えておけば大丈夫、という手順を解説しました」
――実は私△6五歩早仕掛け(居飛車先手なら▲4五歩早仕掛け)をよくやるんですが、△8六歩に▲同角と取られると困るんですよ。だいたい▲同歩と取ってくれるから助かってるんですが。でもこの本が発売されたらみんな▲同角と取ってくるんじゃないかと思って今から恐れています。
「▲同角と取る人を増やそうというのが急戦編のひそかな目論見です(笑)。あの変化はかなりオススメですよ」
※この▲8六同角が井出先生のオススメ。この後、とっておきの(しかもシンプルな)手順があって、振り飛車が指しやすくなります。詳しくは書籍で!
――井出先生といえば棋界屈指の四間飛車党ですが、先生の四間飛車との関わり方についてお話いただけますでしょうか?
「四間飛車は小学生の頃からずっと指していました。それまでは他の振り飛車も指していたんですが、兄弟子の櫛田七段に教わるようになってから四間飛車党に固定されたました」
――世紀末四間飛車ですね?
「はい。筋が良い手順に憧れました。それに加えて、私が序盤から激しくなる将棋があまり得意ではなかったので、四間飛車はやりやすい戦法だったということもあります。例えばゴキゲン中飛車だと超急戦とかあるじゃないですか、そういう激しい形をやめていったら、最後に四間飛車が残ったという」
――まさかの消去法ですか?
「ええ(笑)。とりあえずノーマル四間飛車は美濃囲いに囲えますから」
――と、いいながら最近はエッジの利いた四間飛車も指されてますよね?
「それはちょっと、『窪田流』の影響を受けまして・・・。特にここ数年はなんでもアリという感じです。玉をあえて薄くしてみたり、金を前線に出して抑え込んだり、積極的に玉頭戦を挑んだり。『櫛田流』の真逆のような将棋になってます(笑)」
――今回の書籍のほうには『窪田流』の影響は出ていなかったですね。
「書籍にはごく真っ当な手順を書きました(笑)。窪田流は奨励会の有段くらいになって初めて手を出していい世界で、下手に手を出すと大怪我しますから」
――窪田流は敷居が高いんですね。四間飛車はこれからも続けていかれる予定ですか?
「そのつもりです。ただ、いつも同じ形ばかりやっているとソフトで研究されて狙い撃ちされてしまうので、四間飛車一辺倒というわけにはいかない、という現実的な事情もあります(笑)」
――先生もやはりソフトで研究されたりするんですか?
「ええ、しています。今回書籍を書くに当たっても大きな読み抜けがないかどうか、チェックしたりとお世話になりました」
――ソフトは振り飛車の評価が低い、という話を聞いたことがありますが実際はどうなんでしょう?
「あ、でも四間飛車は振り飛車の中ではソフトの評価が高い戦法なんだそうですよ。個人的にもまだまだイケるんじゃないかと思ってます」
――プロ間では「四間飛車激減の理由」という本が出たくらい一時期激減しましたよね。
「あの本が出たときはしびれました(苦笑)。あれを超える手を出さないと指せないので。居飛車穴熊のガイドブックとして完成度が群を抜いていたと思います」
――なるほど。やはりあの本の影響力はすごかったんですね。今回の本を書くにあたって注意した点や苦労した点はありますか?
「とにかく難しくならないように注意しました。とはいえ、居飛車穴熊のところは高度な内容を書いたので、やや難しくなってしまったかもしれません。ただ第1節に書いた居飛車穴熊に対する考え方のところは初級者の方にも参考になると思います」
※以下、真面目なインタビューは次号の将棋世界の「マイナビ将棋通信」に掲載します。
※井出先生に書いていただいたサイン本
――さて、ここからはざっくばらんに将棋以外の質問をさせていただきます。まず、将棋のルールはいつ覚えましたか?
「5歳です」
――プロになろうと思ったのはいつですか?
「定かではないですが小学4年のころです」
――最初に知ったプロ棋士は?
「羽生先生だと思います」
――普段は指さないものの、興味のある戦法は?
「意外に横歩取りが好きです。三段リーグの最後の将棋も横歩取りですし。基本は振り飛車なんですが、だいたいの戦法を指しています」
――好きな将棋の格言は?
「一歩千金です」
――好きな駒は?
「桂馬です」
――おっ、振り飛車党の命といわれるやつですね。
「いや、私の場合穴熊に対して端攻めがしたいので右桂です」
――え!?右? そっちですか!?
「ええ、▲2五桂!みたいな。▲2五桂を指すときはだいたい楽しんでますね」
「藤井猛先生の一連の本です」
――これまでで勝って一番嬉しかった将棋は?
「書籍にも書かせていただきましたが渡辺明先生との一局ですね。あれほど実績のある先生に、あれほどいい内容で勝てるのは今後相当ないと思いますので」
――いやいや、ファンはこれからもノーマル四間飛車での快勝劇を期待していますよ。では、これまでで負けて一番悔しかった将棋は?
「三段リーグで初めて上がり目のある状態で迎えた最終日の1局目です」
――将棋のどんなところが好きですか?
「個人競技であることですかね。全部自分の好きに決められますので」
――自分の性格を一言で言うと?
「大雑把ですね。振り飛車党は大雑把な人のほうが向いてるんです(笑)」
――ストレス解消法は?
「趣味でもあるんですが、麻雀かアニメか競馬かカラオケか。だいたいこの4つのどれかをしています」
――アニメとはまた意外ですね。ちなみに好きなアニメは何ですか?
「『響け!ユーフォニアム』です。って知らないですよね?」
――知らないです(笑)。何ですか?ユーフォニアムって。
「楽器の名前です。って、私もこのアニメで知ったんですけど(笑)」
――好きな映画は?
「『ターミネーター2』です」
――今1番欲しいものは?
「イスです」
――イス!?イスですか。
「ええ。パソコンを使うことが多いので、社長室にあるようなすごいイスに座ってみたいです」
――将棋をやっていなかったらどんな職業についたと思いますか?
「なんなんでしょうねぇ・・・。普通のサラリーマンになれる自信はないです。相当ズボラなので。自由業?自営業?そんな仕事をしていたと思います」
――今、注目している棋士は?
「振り飛車党の将棋は全部注目していますけど、菅井王位の将棋は特に気になります。この前の王位戦でも見たことがない新構想を連発していましたし」
――最後に将棋ファンに一言お願いします。
「みなさん、ぜひ振り飛車を指しましょう、というか、端攻めしましょう。端攻めの素晴らしさを伝えるのが今回の書籍の隠れた目的だったんです。端から崩す居飛穴の実戦的な破り方を伝授しましたので、ぜひそれを実践していただければと思います」
――なるほど。よく分かりました。井出先生、本日はありがとうございました。
「こちらこそありがとうございました」
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