2017.03.06
第8回 Altcoin -中編-
今回から具体的なAltcoinプロジェクトを紹介していきたいと思います。EthereumとRippleを紹介します。
主要なプロジェクト紹介
今回から具体的なAltcoinプロジェクトを紹介していきたいと思います。どのようなものがあるかや、時価総額などは以下のサイトより閲覧可能です。
Ethereum(日本語表記:イーサリアム)
通貨単位 | ETH(Ether) |
コンセンサスアルゴリズム | Proof of Work 将来、Proof of Stakeに移行予定。 |
アルゴリズム | Ethash 将来、Casperに。 |
発行枚数 | 初期発行量は72000000ETH+ブロック報酬5ETH 上限は未定。 |
ブロック生成間隔 | 15秒前後 |
公式サイト | https://ethereum.org/ |
ホワイトペーパー 原文(英語版) | https://github.com/ethereum/wiki/wiki/White-Paper |
ホワイトペーパー 日本語版 | https://github.com/kurihei/Ethereum-WhitePaper-JP/blob/master/%5BJapanese%5D-White-Paper.md |
日本国内の主な取扱取引所 | BitFlyer, Coincheck |
Ethereumは、スマートコントラクトを利用した分散型アプリケーションを構築するためのプラットフォームです。Ethereumではスマートコントラクトを誰でも利用ができ、あらゆるプログラムを記述可能であるのが特徴です。Bitcoinのようなパブリックチェーンをベースにすることによって、ゼロダウンタイムやプライバシー保護、検閲耐性を得たサービスを作ることを可能にするプロジェクトです。
さて、スマートコントラクト(Ethereumにおける)とはなんでしょうか?ひと言で言えば、あらかじめ記述(契約)されたトークンや暗号通貨の動きを自動で確実に実行するしくみです。イメージとしては 自動販売機 が近いです。
例えば、賭け事をするとします。 「Aブロックのハッシュ値(2進数)の最後は0か1か」といったことであらかじめ賭け事をし、コントラクトアカウントにプログラムします。 そしてそのコードは自動で結果を判断し、配当します。このように自動化するため、普通は入ってくる中間業者を排除した賭け事が可能となります。
ただしこのスマートコントラクトは、外部情報(例えば OO の競馬で1着の馬はどれかなど)を取得するしくみは持っていません。もちろん外部情報を誰かが入力すれば賭け事は成立しますが、その情報を信頼しなくてはなりません(ちなみにこのような賭け事を分散型のネットワークでも実現しようとしているのが[Augur]というプロジェクトです)。
このスマートコントラクトを利用するためには料金が必要です。 これは「燃料」に例えられており、 Gas と呼ばれます。スマートコントラクトによって、処理の重さは違いますので、必要となるであろうGasはもちろん違ってきます。ただしBitcoinと同じように、手数料は送信者側が自由に決めることができます。そして手数料をケチりすぎると最悪ブロックに取り込まれません。
Ethereumには主に2つのアカウントがあります。1つはExternally Owned Account(EOA)というアカウントです。普段使うのはこちらです。人の手で管理されるタイプのアカウントです。もう1つは先ほどもあげましたが、Contract Accountです。
この連載の後半で、Ethereumのシステムを使った簡単なトークンを作成してみたいと思います。
Ripple
通貨単位 | XRP |
コンセンサスアルゴリズム | Ripple Consensus |
発行枚数 | 100000000000XRP 取引手数料は消えて無くなり、発行枚数は減少していく。 |
ブロック生成間隔 | 数秒(10秒以下) |
公式サイト | https://ripple.com/ |
ホワイトペーパー 原文(英語版) | https://ripple.com/consensus-whitepaper/ |
日本国内の主な取扱取引所 | Coincheck |
Rippleは、Ripple inc.によって開発、普及が主導されている送金決済プラットホームです。Rippleネットワークには分散型取引所の機能があり、送金時にそこにある注文を約定することで「Bitcoin(のIOU)を送ったら、受け取りはUSD(のIOU)で」といったことを可能にしてます。
Ripple inc.の見解としては、
「Ripple Consensus Ledgerは中央集権型または許可制の台帳ではない。」(XRPに関する6つの迷信より)
とのことですが、未だに発行枚数の約63%のXRPをRipple inc.が保有していること、取引の承認者のリストであるUNLを(事実上)Ripple, Inc.が管理し、承認者のほとんどがRipple inc.とその関連企業の管理するサーバーであることから、実質的に許可型ブロックチェーン(許可型分散型台帳)であるとの見解が優勢です。
RippleにはXRPというネイティブ通貨とIOUがあります。IOUとは、Gatewayという業者が顧客から引き受けた資産と基本的に同じ数の(ペッグされた)トークンのようなものです。このIOUはGatewayが夜逃げするとただのゴミになるので、注意が必要です。なので、将来的には銀行などといった、社会的信頼度が高い企業がやることが望まれます。
XRPとは、Rippleネットワークに最初から存在する暗号通貨です。Ripple, Inc.はこのXRPを
・IOUとIOUとの間に噛ませてより流動制を高める「ブリッジ通貨」として
・スパムトランザクションがネットワークに多く流れすぎないためのネットワーク手数料として
位置付けようとしています。
「第9回 Altcoin -後編-」に続きます。